吾と違う歩幅もちいる妹の絵の向日葵をかくも気に入り

吾と違う歩幅もちいる妹の絵の向日葵をかくも気に入り

山崎尚美

人の性格はそれぞれ異なるが、とくに姉妹の場合、互いの寛容の幅が(兄弟に比べ)広そうに見える。

さて、この一首「違う歩幅」と表現されているのは、広い意味の性格差で、互いに相手を尊重されている。たとえば「私と妹は違うのよ」と作者は感じており、当然に美的感覚も微妙にずれていて、絵の構図・彩色に始まり筆致にも刺激を感じられるのだろう。

”歩幅もちいる”では、

    1. 「持ちいる」
    2. 「用いる」

が考えられるが、一首の解釈に大きな差異は無しとする。

”絵の向日葵”で強調したいのは「これは絵です」と作者が宣言されていることだ。絵だから現実とは異なって当然という主張だろう。たとえば、黄色い花弁を褐色あるいは黒色で描いても絵だ。

この種の表現の自由度の高いことが芸術の特徴で、人は芸術品に向きあうたびに刺激をうけ想像力をかきたてる。つまり精神の高揚を感じるのである。

「絵の向日葵をかくも気に入り」と詠まれている。

”かくも気に入り”とは、精神の高揚を感じられたことで、妹御の描かれた向日葵の絵は「かくも気に入り」と作者に詠ませるだけの精神性を漂わせているのだ。

”やはりそうか、短歌も絵も求められるものは精神性の高さか、分かった”と簡単に納得してはいけない。荒俣宏に言わせれば「分かることはその先に謎が生まれること」で、「何芸にしても、分る程に謎が深くなる」という。結論を急ごう。

「分かるための秘事」とは、想像力を働かせ、『いかに新しい可能性や異質性を見付けるか』に落ち着くとしたい。

(文・平本雅信)

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