ふるさとの史跡をたずねて【368】仁王像(尾道市因島重井町善興寺)

仁王像(尾道市因島重井町郷善興寺)

重井町善興寺の山門下の石段の前に、白滝山中腹の仁王像とよく似た仁王像がある。白滝山の方は、八幡神社にあったもので、瓦屋根の仁王門の中にあるが、こちらは青天井で200年近く風雨に晒されてきた。天保5年(1834)年の建立であるから、正確には190年ということになろうか。したがって基台に書かれている寄進者の名はほとんど読めないが、右側(西側)が柏原林蔵、左側が村上十兵衛である。林蔵の名は白滝山中腹の仁王像にもあるから、両方の仁王像の建立は林蔵が進めたものであろう。

白滝山五百羅漢の石仏工事は文政13年(1830)に終わっている。伝六の依頼を受けた林蔵が基本プランを作り、尾道石工がそのままに作ったとは考えられないから石工全体の責任者である太兵衛などの意見が反映されたことは十分に考えられる。その3年余りの協力と信頼関係の結果が、これらの仁王像の建立につながったと思われる。

石工集団の組織については、詳しいことはわからないが、西洋の多くの芸術作品でもそうであるが、おそらくプロダクションであったと思われる。いわば工房で、名のある石工の下に何人かの弟子がいて作者銘にはその弟子たちの名は記されない。白滝山の石仏工事においてはその名ある石工が10人ほどいて、その中でも最も優れた石工が太兵衛だったと思われる。付き添いの弟子たちの人数はわからない。

白滝山の石仏工事と違い、2箇所の仁王像の製作においては林蔵と太兵衛の関係は発注者と製作者であったと考えられる。

写真・文 柏原林造

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