因島で見た野鳥【171】コガモの換羽

コガモは、カモ類の中では最も早く渡来する。渡来直後のオスの多くはメスの羽衣に似ていて、越冬中に繁殖羽に換羽する。本稿では、その様子の概略を述べる。

はじめに、コガモの繁殖羽の特徴を図①に示す。

図①コガモの繁殖羽

メス(左)の繁殖羽は地味で、全体に茶褐色で、体は羽縁が淡色の茶褐色の羽で覆われている。非繁殖羽もほぼ同様である。

オス(右)の繁殖羽は、派手な羽衣である。額・頭頂・後頚は栗色、目から後方に暗緑色の帯状斑、頬と頸が栗色、体の側面と肩は、小さな白黒の波状斑で明るい灰色に見え、中央に水平の白線がある。腰の両側に、黒い線で囲われた淡黄色の三角形斑が目立つ。

図中に、矢印で、簡単な注釈を記入した。オスの非繁殖羽はメスの羽衣に似ていて、その状態をエクリプスいう。


写真は、換羽の過程がわかるように、換羽の進行状態で並べたものである。同一個体の写真ではない。個体によって換羽の進行の様子は異なる。

写真①は、9月に渡来した約20羽のコガモの群れで、オス(エクリプス)も混じっていると思われるが、区別は難しい。

写真①渡来直後のコガモ(9月初旬)

写真②は10月下旬のオスで、クチバシの基部と、額から頭頂にかけて栗色に近い色の斑があり、肩あたりには小さな波状斑も混じり、繁殖羽へ換羽する兆候を示す。

写真②換羽の兆候が現れる(10月下旬)

写真③は11月初旬の写真で、顔の下半分と頭頂部分が栗色っぽく、そのあいだに緑色の斑がわずかにある。

写真③換羽中(11月下旬)

写真④も11月初旬の写真である。この個体では、頭部が栗色、目から後方の暗緑色の帯状斑と頬の栗色の模様が明確になっているが、胴体の白黒の波状斑や水平の白線、腰の淡黄色の三角斑は無い。

写真④換羽が進むが、まだ未完成(11月下旬)

写真⑤は繁殖羽となったコガモ・オスの例(1月撮影)で、図①に用いた写真の個体と同一である。

写真⑤繁殖羽となる(1月)

因島では、湖や大きな池ではなく、小さな水面で水鳥を観測し、目視でも換羽の様子を確認できる場合がある。繁殖羽への換羽が完了しても、繁殖地へ渡去する前にすることがある。次回に、その概要を述べる。

文・写真 松浦興一

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