ふるさとの史跡をたずねて【350】滝山観音(尾道市瀬戸田町高根)

滝山観音(尾道市瀬戸田町高根)

因島から見ると高根島の高根山の南斜面はなだらかな富士山形で「片富士」などと呼ぶ人がいる。その高根山の中腹には、滝山観音と呼ばれる西国三十三観音の写し霊場がある。

現在は、山全体を覆っていると考えられるイノシシ柵についた高価な扉を開けて登る。ほどなく立派なお堂=写真㊧=があり、その周囲の崩れかけた岩肌に観音像=写真㊨=が置かれている。

ある石物には「天保九年十一月 奉寄進」と書かれており、ここが古くからの霊場であったことがわかる。他に昭和2年の寄付碑があり、また昭和25年3月18日の日付のある御堂修繕費の寄付者名簿の板が、お堂の周囲に貼り付けであるから、長い間、人々の信仰を集めてきたのであろう。

さて、私は因島重井町の白滝山と2つの類似点があるのに気づいた。重井町の方から書くと、名前の元になった、水の流れる滝があったと考えるが人がいる。そんなものはない。また、観音像の左手に掲げられた十字状の持物を、キリスト教の十字架と考え、果ては、白滝山を隠れキリシタンの遺跡であるとか、キリスト教を入れた新しい宗教を開祖伝六が作ったと、今でも書く人がいる。無知の連鎖は怖い。

滝山観音の周辺を見ても、水の流れる滝は無いだろう。もちろん、キリスト教関連のものも。

崖のことを「タキ」と呼ぶことや、観音菩薩が武器を手にしていることは近辺の山や、霊場を見れば明らかである。

写真・文 柏原林造

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