「社会を明るくする運動」入選作文【15】リスタートできる社会に

尾道地区保護司会(木村修二会長)が行った第72回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテストで表彰された作文を掲載する。

リスタートできる社会に(中学校の部 尾道市入選作品)

向島中学校1年 村上薫さん

「山桜鉄格子越し仰ぎ見る」

これは岡山少年院の在院者が作った俳句作品です。私は、夏休みに福山市中央図書館の「社会を明るくする運動」展示コーナーを見に行きました。社会を明るくする運動の作文コンテストに入賞した優秀作品や、少年院の在院者や刑務所の受刑者の絵、川柳、俳句、短歌、詩など、様々な展示がされていました。

その中で「拳」という岡山少年院の一人の詩が心に残りました。罪を犯したことを深く反省して二度と自分の「手」を汚すまいとする決意と、人を助けていくためにこの「手」を使うという前向きに生きようとする決心が伝わってきました。他の俳句作品では、千羽鶴を折って祈る自身を詠んであり、少年は犯罪を犯したけれども、もともとは素直だったんだなと思いました。川柳で、コロナ禍での不要不急の面会禁止で面会の数が減ったという句からは、本人の寂しさを感じるとともに、私は「大丈夫、家族や友達や誰かが覚えていてくれるから。」と思わずつぶやきました。

また、再犯防止の取組についての詳しい説明のパネル展示がありました。犯罪や非行を犯した人が社会に戻ってきたときに、社会から排除され、孤立したまま「生きづらさ」に対してなんの手当もされないと、再び罪を犯してしまうリスクが非常に高くなります。そのため、再犯防止の課題は犯罪や非行を犯した人の様々な生きづらさを解決することだと知りました。生きづらさとは、仕事がない、住居がない、居場所がない、社会から孤立している、いじめ、虐待、家庭崩壊、貧困、依存、障害などのことです。このような生きづらさを抱えている人たちに寄り添い、立ち直りを支援する再犯防止の取組があることがわかりました。

取組の一つ目は、犯罪や非行をした人の就労や、彼らを雇用してくださる方を支援していることです。仕事がある者の再犯率は仕事がない者の三分の一になっています。そのため、就労の確保は、犯罪や非行から立ち直るための重要なカギになっています。

二つ目は、犯罪や非行を犯した人の特性に応じた指導や就労支援の充実に取り組んでいることです。このことは、例えば、展示作品に見られるように、更生に向かって自分の心を見つめ直す指導を受けているのだと思います。社会に出たときに仕事をしたり、自立できるよう学力補充をする教育や支援を受ける取組だと思います。

三つ目は、様々な方に民間協力者として活動してもらえるよう、積極的に働きかけていることです。幅広い年齢、多様な職業の方々へ働きかけていたり、民間協力者の方々の存在を広めています。「就労」「見守り」の両方を担う協力雇用主の方が支援の担い手になります。

四つ目は、地域社会における居場所の確保を進めることです。一時的な居場所の更生保護施設や自立準備ホームを確保したり、定住先の住居を確保しています。刑務所出所者のうち、四割以上が適当な帰住先がありません。また、帰住先がないまま出所した者は再犯に至るまでの期間が短いです。生きづらさを抱えながらも、生きていく人たち。そんな人たちを受け入れて支援していく地域のコミュニティーが必要です。

五つ目は、微罪処分の約四割を高齢者が占めていることです。そのため、早期の段階で福祉的支援に結びつけて犯罪を防ぎ、再犯防止に結びつけています。他の取組としては、覚せい剤取締法による検挙者の六割以上が過去に同じ罪で検挙されています。そのため、薬物事犯者の再犯防止対策が大切な課題です。

再犯防止の取組のパネル展示を見たことは、立ち直りについて考える大変良い機会になりました。展示を見た後、家族と展示について話をし、私が住んでいる地域には自立準備があることを初めて知りました。そこは宿泊場所や食事を提供し、利用者の自立に向けて支援するところです。このことを知って、再犯防止の取組が身近に感じられ、内容が少しわかりました。罪を犯した人が更生し、地域で生きていくためには、これらの取組を活用し、地域が協力、支援していくことが必要です。そのためには、もっと多くの人が取組の内容を知る機会が増えると良いと思いました。

第72回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテスト 表彰者の皆さん

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