因島で見た野鳥【159】ジョウビタキの尾羽再生
前回【158】で尾羽が、19日経過して風切羽の後端C(前回の図①を参照)近くまで伸びて来たことを述べた。
その2日後の2月19日(21日経過)の状態が写真①である。茶色の外側尾羽が翼の後端Cを超え、黒い中央尾羽がわずかに見える。
写真②は、2月25日(27日経過)の状態で、黒い中央尾羽の羽軸が明瞭になりCにまで達している。
写真③は、3月9日(39日経過)の状態で、尾羽全体がCを大きく超えているが、本来の尾羽の先端Dまでには達していないと思われる。
写真④は、3月12日(42日経過)の状態で、やや主観的な判断にはなるが、尾羽はほぼ再生しているように見えるが、依然として中央尾羽の再生が外側の尾羽に遅れている。
近いうちに、中央尾羽も外側の茶色の尾羽と同列になると思われるが、そのような状態になった時には、別の個体との識別が不可能になるので、この段階で観測を打ち切った。3月27日に「縄張り」の中で1時間余り観察したが、ジョウビタキの姿は無かった。文字通り、野を超え山越えて日本海側に移動し、日本海を横断して生まれ故郷を目指したのであろう。
前回述べたように、カモ類の風切の換羽は1ヶ月程度で終了したようであるが、尾羽の再生には1・5ヶ月程度必要となった。カモの観察例の場合には、あらかじめ換羽の準備が整ってから脱羽しているが、今回の尾羽は、いきなり脱羽したために再生準備の時間を余分に必要としたとも考えられる。
尾羽による姿勢制御には、中央尾羽より外側の尾羽が有効と考えられる。外側の尾羽が中央尾羽より先に再生を始めたのは、このためと推測した。
自然界で、足環などを付けずに同一個体を長期にわたって観測することは難しい。越冬期のジョウビタキは、おおざっぱにいって、向こう三軒両隣程度の狭い縄張りを持ち、別の個体が縄張りに入ってもすぐに排撃し、同じ場所に繰り返し立ち寄る。幸運にも、今回は、同一個体と思われる野鳥の尾羽再生の様子を、長期にわたって観測できた。
生物の生命力の強さとその精緻な仕組みに、あらためて驚いた。
文・写真 松浦興一
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