短編小説ショパンの調べ【28】大原美術館

「ドン(信子)が、アミ(恋人)に会いたくなったんで倉敷まで行こうって言うのよ」

夕食の後片付けをしながら、静子が言った。芳江が電話で、葬儀は明後日だと言っていた。もし拓也が許してくれたら、明朝たって3日もあれば、時間はある。ドンとシャー(美佐子)には、電話で口裏を合わせてくれる様に、頼んでいた。

「結婚して1年の間、何処にも出掛けてないんでたまには、息抜きをして来ればいい。実家に泊まれば、お父さん、お母さん、芳江ちゃんも喜ぶだろう」

拓也は、すんなり許可をしてくれた。

「独身の頃は、月に1回は3人で、大原美術館へ行ってたでしょう。それが、1年も我慢していたので、可笑しくなりそうだって…。ドンはセザンヌの水浴、シャーはルノアールの少女イレーヌ。でも私は、何てったって、林武の梳ずる女が最高よ」

静子は、嘘がばれはしないかと、気が気ではなかった。生来、馬鹿が付くほどの正直者で、嘘などついた事がない、まして考え方によっては、不倫とも思われる思いきった行動に、何時しか静子を饒舌にさせていた。

松本肇(因島三庄町)

 

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