ふるさとの史跡をたずねて【161】四国八十八ケ所御本尊(因島重井町白滝山)

四国八十八ケ所御本尊(因島重井町白滝山)

八十八け所ではなく、八十八か所と読んでほしい。なぜなら八十八ケ所のケは箇の字の竹冠の左側だけを記して、八十八箇所を略して書いたものが、カタカナのケで表記されているにすぎないからである。すなわちケはカタカナではなく漢字の箇の略字なのである。

さて、前書きが長くなったが、四国八十八ケ所御本尊というのも奇妙なものである。私も四国は二度お参りしたが、どこにも四国八十八ケ所御本尊というのはなかった。四国の場合には、初めか最後に、例の「大師はいまもおはします」の高野山奥の院にお参りする。しかし、奥の院はあくまでも奥の院であり、八十八ケ寺全札所の代わりをするものではなかろう。

四国巡拝においては本堂と大師堂の前で般若心経を唱えるのが流儀であり、本堂の前というが、各札所の御本尊の前ということである。そして各札所の御本尊は同じものもあるが、それぞれ異なるのであるから、ある特定の御本尊を四国八十八ケ所御本尊ということはできない。

その理解できない四国八十八ケ所御本尊が白滝山山頂の、弘法大師立像の隣にある。これは何を意味するのだろうか。

弘法大師立像の前で88回般若心経を唱えたつもりで、一回読めば、やはり各札所の御本尊の前で…ということになるので、それを代表するものとして、奉納しているのだとは思うが、実態は何なのかわからない。

重井町史年表によると「文化13年(一八一六)白滝山上に四国八十八ケ所本尊分霊を祀る」と書いてある。神仏習合の時代であったのだからいいのかも知れないが、今風に言うとお寺とお宮は違うのだから、分霊という言葉はそぐわない。それはさておき、分霊という文字に注目すれば、やはり四国に御本尊の本体がありそうなのである。しかしそんなものは聞いたことはない。

繰り返しになるので、詮索はやめて、私の想像を書く。全札所の御朱印を頂いた納経帳とか、あるいは全札所の砂を奉納してあるのなら四国八十八ケ所御本尊と言ってもよいだろう。そのようなものは見えないから、埋めてあるのかもしれない。

(写真・文 柏原林造)

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