故郷への手紙【1】帰省

帰省

電車で14時間。

こんなにも因島を恋しく思うようになるなんて。

例年より少し早い時期の休暇。時間をめいっぱいかける電車の旅が、私の定番。
時間と景色の流れとともに、少しずつ私の中の空気を入れ替える。
離れている距離を感じながら帰る故郷は、さらに特別な存在になった。

今回の帰省には理由があった。
因島空襲から70年が経過した。
父が生きて70年が経つ。

「慰霊行事を家族揃ってやりたい」
父から電話があった。
「…帰らなきゃ」
使命感のようなものを感じた。

弟は、仕事を終えてすぐ新幹線で駆けつけた。私は、予定を変更し休暇を取得した。
こうして、家族4人が揃う初めての慰霊行事に臨んだ。

場所は、7区神田。
祖父の家があった場所。幼少期遊び回った場所。そして、0歳の父が生き埋めになり助けられた場所だ。
私たち家族が今生きていることが、奇跡に近いことだと感じた。
父が助からなかったら、母とは出会わなかった。弟も私も生まれてはいなかっただろう。

空襲を知らない世代にとっては、風化しつつある歴史の一部に過ぎないかもしれない。
しかし、私にとっては歴史にする訳にはいかない確かな事実だと自覚した。私のルーツでもあるからだ。
今はまだ知る立場。
今後伝える立場になりたいと思う。
それが、私の役目だと感じている。

今回の帰省、故郷としての因島が私の一部にあることを改めて実感した六日間だった。

青木めぐみ

(青木めぐみ)

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