時代的背景を紡ぐ 本因坊秀策書簡【1】NHK大河ドラマ「篤姫」と囲碁(その一)

 NHKドラマのヒロイン篤姫(宮崎あおい)は囲碁がお好きのようである。対局相手の心を盤面を介して読み取るシーンが何度となくクローズアップされた。大奥に上ってからはそれどころでない。


 嘉永年間はアメリカの黒船がやって来て日本と和親条約を半ば強制的に締結。引き続き通商条約に向けての布石を打ち始める。安政年間になると一層その来訪もしきりと厳しくなり、国内の勤皇倒幕の動きも表面に抬頭、泰平が続いた徳川幕府時代に陰りが見えて来た。
幕末の天才棋士・本因坊秀策 社会不安は囲碁界を直撃。恒例であった御城碁も正常の日程で行なわれることは少なくなり、二局か三局に省略、お好み碁は行なわれない年、下打ちだけに終る年、中止の年さえもあった。老中は国内外に問題を抱え囲碁どころでない実情は大河ドラマ篤姫からもうかがえる。
 この御城碁の行く末について秀策がいかに憂慮していたか、彼の書簡の中の随処に読み取ることができる。

 また安政六年(1859)九月十七日附、尾道の橋本吉兵衛(静娯)宛
 (前略)水戸様も御慎仰せつけられ侯。先の中納言様御国元の螫居、一つ橋様も御隠居。其の外御家人京地の鵜飼親子都合五人死罪仰せつけられ其の外京地より参り候人々遠島(えんとう)等御座候。(中略)去りながら当十五日の神田祭礼様は余程立派上様上覧もなされ在り候。来春にも相成り候はば追々賑々しく相成り申す可くやと噂致し居り候。碁は更に打ち申さずこの節は余程下り侯様存ぜられ侯。(後略)

 この書簡は秀策三十歳。篤姫が嫁いだ将軍家定死去。十三代家茂が将軍に就いた年である。申すまでもなく安政の大獄の江戸での話を尾道の橋本吉兵衛竹下(ちっか)の長男静娯(吉兵衛は襲名)宛に知らせたもので、国の大事件があった後の恒例の江戸・神田祭が余程立派に行われたことに囲碁の御前試合ともいうべき「御城碁(お好み碁)」継続開催への希望をふくらませている様子が読みとれる。
 しかし「碁は更に打ち申さず。この節は余程下り候様存ぜられ候」と、棋力の低下を憂いている。
 たった二杯(2隻)の蒸気船(黒船)に江戸町民は夜も眠れず―と、世情不安なところへ篤姫も狼狽した安政二年十一月の江戸地震。江戸城も被害を受け、この年の御城碁は中止となった。前年の伊豆相模(東海)地震につづいての惨事である。もちろん、これらに加えて尊王攘夷倒幕論などの社会不安も御城碁中止の理由となったであろうことは想像できる。
 こうした歴史的背景をNHK大河ドラマ篤姫に重ね合わせて見るのも囲碁文化史の夢がひろがる。
(庚午一生)

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