碁聖・本因坊秀策偉人伝 郷土因島出身の天才棋士の物語り 虎次郎は行く(下巻)序【6】 「ヒカルの碁」の原作者との対談(3)

ほった 中・韓の囲碁レベルは、日本をしのいでいます。向う(韓国)に行って、若いプロ棋士の自宅も訪問しましたが、かなりの古い棋譜を勉強したと思われる書物が本棚にぎっしり詰まっていました。もっとも、パソコンを使っての研究も欠かさない。囲碁人口も日本より多いという現実をかいまみて「ヒカルの碁」では、主人公のヒカルを日韓戦で勝たすわけにいかなくなった。気持の上では日本チームに勝ってほしいと読者が思っていたこともわかっていましたが、ここは現実を表現しました。原作者といっても私は「絵コンテ」で、連載1回分のストーリーと、それをコマ数に分けて漫画を入れる下絵を描いて、漫画家の小畑健先生が原画を仕上げるという作業。したがって、取材には時間をかけましたし「虎次郎は行く」も読ませていただきました。

ほったゆみさん(本因坊秀策墓碑にて)

―新聞記者時代の大先輩である故司馬遼太郎さんが「歴史小説は資料がもとになるが、それだけでは読者の興味をひかない。30%程度はフィクションが必要で、それくらいは許されるだろう。それ以上フィクションを入れると歴史小説でなくなる」といわれていました。

ほった 漫画の場合、連載の1回ごとに「山」が必要で、読者の夢や期待をふくらませていただくことに精力を傾けています。今回の「ヒカルの碁」は、4月末で少年ジャンプの連載を終りましたが、読者から「マジで終るのかよ。次のシリーズがあるのだよね…」というメールが届いています。なかには「次は日中韓ジュニア杯から始まるのが順当」「ヒカルの孫が主人公になって囲碁バトル漫画に」という注文をつけたものまでありますが、漫画は小説と違ってどこで終ってもいいと思っています。

―家族や学校、社会環境の違うヒカルと塔矢が紆余曲折の道をたどり、やがて対等の友人であり良きライバルになる。枕元に立った佐為の霊との永遠の別れは「すごい発想だな」と感心しました。微笑ましさと寂しさが読者の心にきざまれたと思います。

ほった 少年少女のみならず大人の方々にまでも愛読いただき感謝しています。いま、私個人としての悩みがあるのです。主人の父と親しくなれるなら、と囲碁を習い始めました。対局相手との会話は少なくても交流が深まるのが囲碁の特徴の一つでした。義父の手ほどきで始めた碁から、名古屋市の碁会場に通うことになりました。近ごろでは、師匠であった義父より棋力が上がったようで、わざと負けてあげるわけもゆかず。さりとてだれもが囲碁天狗の性格を持ち合わせている。プライドとでもいうのでしょうか。それを傷つけ、せっかく親密になれた義父との間に気まずい亀裂がおきてはという心配です。

―気にすることはないでしょう。「息子の嫁がわしより強くなった」と自慢されると思います。因島市の中学生が「碁石」に触れて2年間で6段の実力。昔なら天才、神童とさわがれたでしょう。現在、高校2年生ですが彼を教えた人たちが追い抜かれたわけです。それでも「背負った子に教えられ」と、皆さん自慢して喜んでいます。

ほった 素質がある子どもがいますよね。学校の成績とは別で、囲碁の環境さえ備わっていれば、逸材を育てることができると思います。それをヒカルの碁で訴えたつもりです。

(つづく)

写真は秀策の墓前で連載完了を報告するほったゆみさん。

ほったゆみさん(本因坊秀策墓碑にて)

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