因島で見た野鳥【125】ハシビロガモの採餌

ハシビロガモは、本連載【26】で既に紹介したが、全長50cmのカモの一種で、クチバシ(嘴・はし)の先端が広いカモである。

写真①②③④で、メス、オスの全身像と、クチバシを拡大した様子を示す。

  • メスは、羽衣が茶褐色で、クチバシは黄色ぽい。
  • オスは、頭部から首にかけて黒・緑色、胸は白、脇は茶色の派手な羽衣をして、クチバシは黒い。
  • 黒目の周囲(虹彩)が、メスでは茶褐色、オスでは黄色である。
  • エクリプスは、メスに酷似しているが、目の色で識別できる。

カモ類の多くは、嘴の縁(嘴縁)に櫛状の突起が並び、ハシビロガモでは特に発達しており、歯ではないが、板歯と呼ばれる。写真②と④にその様子を示した。ハシビロガモは、この板歯で、水中の小さな水生植物やプランクトンを濾し取って食べる。

ハシビロガモは、しばしば、単独でも数羽のグループでも、一方向に回転しているが、水面に一方向の円状の流れを作ると、水底からの上昇流が発生し、プランクトンなどが巻き上げられる。ハシビロガモがグルグル回るのは、このプランクトンを採餌するためである。

ハシビロガモの飛来数は、年によって変動するが、筆者が鳥を観察し始めた2010年頃には、その飛来は稀であった。近年は、10~30羽ほどの群れを見ることが多い。

環境省は、冬季のガンカモ類の生息数を1975年から調査し、その結果を以下のホームページで公表している。

第3回自然環境保全基礎調査植生調査報告書
( http://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top.html )

この報告のデータを用いて、広島県でのハシビロガモ生息数の推移をグラフに示す。

グラフ 広島県でのハシビロガモ生息数

これによると、広島県へのハシビロガモの飛来は、1970年代は稀で、その後増加し、2010年以降の増加は著しい。因島でも、この傾向を反映しているのであろう。一方、日本への飛来数は、約1万~3万羽で、年によって変動はあるが、近年増加しているわけではない。これらの理由を、筆者は知らないが、興味深い。なお、生息数調査は、全国一斉に、定められた場所で観測された羽数の集計で、生息数の全数ではないが、傾向を表している。(1月28日・記)

写真・文 松浦興一

因島で見た野鳥【26】ハシビロガモ

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