75歳老人のフーテン 2019東北の旅【1】

田中伸幸さん寄稿文 連載始まる

連載「75歳老人のフーテン 2019東北の旅」が、今週号から始まる。

昨年の9月、田中伸幸さん(76歳・因島田熊町)は福島県を振り出しに、宮城県・岩手県・青森県・秋田県・山形県・新潟県・富山県・福井県・滋賀県などを気ままな一人旅で回った。

学生時代とその後の在京時代にお世話になった所を訪ねる旅である。

田中さんは、因島高校卒業後東京の大学で学び、会社勤務を経て、1968年Uターン。2007年まで田中書店を経営。

75歳老人のフーテン 東北の旅【1】

田中伸幸さん

10年来の夢。それは学生及びその後の在京時代にお世話になった所を訪ねる旅である。50余年過ぎてはいるがお世話になった人たち・その御子孫にお礼を申し上げる旅に出ることである。もちろん50余年の経過の変貌もしっかりと見届けたい。2週間以上の予定で旅館の予約も入れず足の向くまま、老体の体力を考慮しながらの気ままなただ一人だけの旅のスタイルでおこなう。

旅といえば観光、もちろん観光もする。しかしこの旅の主たるテーマは人間のいとなみを見つめることとする。しかも欠かしてはならないことがある。それはカツオ1本釣り船、第5雄勝丸での2か月間の漁師生活を許してくれた船主の住む雄勝(おがち)町への訪問とお礼、そしてしばしば入港した女川・石巻への訪問、それに友人稲垣君(今は音信不通になっている)と20日間程を過ごした居候的な手伝い生活の舞台、新潟瀬波(せなみ)温泉の丸一旅館の訪問とお礼である。それに加えて雄勝・女川・石巻の津波被害の実際、気になっていた原発街道付近の実情、昔中途半端に終わった五能線(ごのうせん)の完全制覇は必ず果たしておきたい。

金は不如意(ふにょい)な私、もちろんあの老後の2,000万円ははるかにない。ゆとりはない。だが75歳まで頑張って生きてきたことへの自分自身へのごほうびのつもりの旅である。しかしこのような状況での前後みさかいの無い浪費は私の昔からの性癖でどうなることか危惧しないわけではない。

「旅」魅惑的なものである。日常から離れ非日常の世界に入ることである。若い時分は日常から離れることで精神の高揚感・解放感をおおいに感じ、再び日常に戻る虚しさを味わっていた。しかし今回の私にはそれなりの高揚感・解放感はあるが、日常に戻る虚しさほとんどないのではないかと思います。年をとったせいであろう。

(田中伸幸・因島田熊町)

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