尾道地区保護司会「社会を明るくする運動」入選作文【2】「立ち直る」ために

尾道地区保護司会(小川曉徳会長)が行った第68回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテストで表彰された作文を掲載する。

「立ち直る」ために

山波小学校6年 井本咲愛さん

「立ち直る」と言う言葉には二つの意味があります。一つ目は、倒れかかったものがもとの状態に返ること。二つ目は、悪い状態になった人や物事が、もとのよい状態になるということです。

今まで私は、犯罪・非行のない地域社会づくりや、犯罪や非行をした人の立ち直りについて考えたことがありませんでした。そこで、調べてみると、広島に、居場所のない子ども達の立ち直りを支えている人がいることを知りました。その人は「広島のマザー・テレサ」と呼ばれているそうです。気になってもっとくわしく調べてみると、「中本忠子」という女性の名前にたどり着きました。中本さんについての色々な記事を読みました。中本さんは、多くの人から信頼されているということが分かりました。中本さんは、少年達から「ばっちゃん」と呼ばれているそうです。周りの人、それも、犯罪や非行に関わった人達が家族のように中本さんを呼べるのも、厚い信頼関係があるからなのだろうなと思います。

ここからは、私も中本さんをばっちゃんと呼ばせていただきます。ばっちゃんは、31才で結婚しました。3人の男の子を授かりましたが、末っ子が生まれた直後に夫を心筋梗塞で亡くし、幼なかった3人を女手一つで育てました。そして、1980年、中学校のPTA役員になりました。

その時の中学校は荒れていたそうです。警察に補導される生徒もいたそうです。ばっちゃんは忙しい保護者の代わりに補導された生徒達を迎えに行っていたそうです。そのうち、顔見知りになった警察官からの一言で、保護司になりました。ばっちゃんは、その2年後、シンナーを止められなかった中学2年の男子生徒を担当することになりました。ばっちゃんは、どうしてもシンナーを手放そうとしない少年に対し、「なんでそんなにやめられんの?」と尋ねると、少年は「腹が減ったのを忘れられるから。」と返してきました。この時、ばっちゃんは、この時代にろくに食べられない子がいるなんて思ってもおらず、衝撃を受けたそうです。ちなみに、少年の母親はアルコール依存症でろくに食事も与えていなかったようです。ばっちゃんは、空腹に気づけなかったことを詫び、その日から毎日少年のご飯をこしらえるようになったそうです。お腹いっぱいに食べられるようになった少年はシンナーを止め、同じような境遇の友達をばっちゃんのもとへ連れてくるようになりました。そのことがきっかけで、ばっちゃん宅は、行き場のない子どものたまり場になりました。そのたまり場にいる子ども達全員にご飯を作るのは大変だろうと、となりに住む人が手伝いに来ることもあったそうです。このような活動をばっちゃんは行っているということを知りました。

文句一つ言わずにご飯を作ってあげる優しさや、その大変さに気付き、すぐさま助けに行く隣人は心から優しい人達だと思いました。何よりも、彼らの行動力に驚きました。私自身、行動しようと心の中では思っていても、なかなか行動に移すことができないことがあります。だからこそ、そういう行動力に憧れます。

では、私の住む尾道ではどのような取組があるのでしょうか。調べてみると、尾道での取組があることも分かりました。

それは、7月に行われる「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」では、市内のスーパーマーケットやJR尾道駅付近で街頭宣伝を行っているそうです。また、向島では「青少年と電子メディア~携帯電話のこわさについて~」と題して、無料講演が行われたり、青少年センターの職員と青少年補導員が、合同で市内を巡回したりする取組等があるそうです。犯罪や非行を無くすために、地元でも、私の知らない所でたくさんのことが、たくさんの人達によって行われていることを知りました。実際に身近で行動をしている人達がいるのです。改めて、知らないことばかりだと思うのと同時に、もっといろいろな事を知りたいと思うようになりました。

今回、広島や尾道での活動を知ることで一番強く感じたことは、立ち直りは、周りの人の助けがあってこそ実現できるもので、一人で立ち直ることはとても難しいということです。だからこそ、人はみんなで助け合って暮らしているのだと思いました。よくある、「助け合う」等、言葉だけのきれいごとが飛び交う環境をふり返ることで、これまでの考えが大きく変わりました。まずは、身近な学校生活から「人は助け合って生きている」ということを、自分から行動していくことで実現していこうと思います。

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