ふるさとの史跡をたずねて【84】三秀園(上島町生名島)

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三秀園(上島町生名島)

さて、生名島から帰る前に、もう一つ寄っておきたい所がある。麻生イトさんが別荘として作った三秀園である。

三秀園は土生港から生名島へフェリーで渡って、右へ行くとすぐのところにある公園である。あるいは、立石山への登山口を目指せばよい。

三秀園の池には海水が入っていたと書かれている。また、注連縄をめぐらせた巨岩はかつて海の中にあった。今は公園の外には立派なアスファルトの道路があり、さらに頑丈な護岸があって、かなり埋め立てられている。元は、海もよく見え、見事な眺めだったのではないかと想像される。

周囲の建物は古びていて、どれが元の瀟洒な別荘だったのかわからないが、麻生イトさんはここで晩年を過ごした。また立石山の中腹には立石観音と呼ばれている子安観音が岩穴の中にあり、麻生イトさんが整備した参道が立石山の登山道になっている。

だから、周辺には麻生イトさんゆかりのものが多いので、それらの由来を一つひとつ見ていけば、麻生イトさんのことがよくわかるだろう。

ところで、「悪名」や「続悪名」の映画や、その原作である今東光の小説『悪名』には、そのままの名前で出てくるし、その印象は強烈である。フィクションとはいえ、実際の本人を知らない私には、半分以上は映画や小説に描かれたような人だったのだろうと思う。

だから、麻生イトさんについては、私流の印象を押しつけるよりも、読者の方が各自で確認されるのがよいと思う。

(写真・文 柏原林造)

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