ふるさとの史跡をたずねて【131】文久新開(因島中庄町新開区)

干拓の苦労を語るものに、文久新開もある。その名が示すように、江戸末期文久時代に完成した干拓である。

ここも最初から成功したわけではない。最初は、石井禎四郎が始めた。嘉永5年(1852)のことである。しかし二度にわたる堤防建設に失敗し、未完となった。

のち、安政5年(1858)元山常太郎が工事を再開した。3年かかって文久元年に完成した。一部は塩田として利用され、残りは畑であった。

しかし、不幸なことに、明治17年(1884)に暴風に襲われた。その結果荒波が堤防を越えるとともに、破壊した。一度海水を浴びた畑地は使い物にならなかった。そこで、明治24年(1891)に全てを塩田にした。その後、全国的な塩田の整理に伴い、昭和46年(1971)に塩田は廃止された。

その後自動車練習場ができていたが、高低差のある土地で整備が大変だと思った。現在はゴルフの練習場になっている。

こう書くと多くの人々にどの場所かわかると思う。すなわち、唐樋から新入川橋に至る、油屋新開の堤防上の道路より海側の土地である。そして入川を隔ててその向こうは蘇功新開である。

三面の満潮時の水位はかなり高い。すなわち自然の脅威と直面しているということである。作ることも大変だが、守ること、すなわち維持することも大変だと思う。より高くと、夢を追い続けなければならないだろう。

例の大浜越えは現在は通れないが、大浜から大楠山への分岐のところをまっすぐ唐樋へ降りる谷道がある。かつては耕作されていた南斜面であるが、ヤツデのジャングルで眺めは悪い。少し南西に下って大きく鼠屋新開へカーブするところの尾根から見ると、現在はかなり整地されているという印象を受ける。

(写真・文 柏原林造)

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