因島田熊町の街中にイノシシ 山には狼化した野犬 変わる島嶼部の生態系

掲載号 11年07月09日号

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 野犬の群れに追い詰められたイノシシが民家の床の下に逃げ込んだ。因島の田熊町備南酒造付近の話である。夜中泣き叫ぶイノシシの声に恐さと不安とストレスで疲労困ぱい。どこに助けを求めたらいいのか困り果てた母子家庭。夜明けとともに市役所の友人にSOS。駆けつけた友人や猟友会の人たちが悪戦苦闘の大捕物。

 こんな時に孫子の兵法を持ち出すのも大げさな話だが「一方を開けて攻めよ」と追い出した。これを聞きつけた野次馬は、捕まえて駆除すればいいのに―と不服の声。残念なことには、禁猟季のこととて射殺するわけもいかず、野に放った。迷いシシは足にケガをしていたので、野犬の餌食になる可能性大と、猟友会員はポツリひと言。

 このところ山里近い民家ではイノシシ被害が増加、周囲にサクをするやらワナを仕かけるなど防護策でチエくらべ。最近になって野犬の群れが気味悪いツラ構えになってきた。野生の犬はどうもうな狼(おおかみ)に似てくるというから島しょ部の生態系まで変ってきそうだ。

(村上幹郎)

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