早春奏でる 新酒祭り 搾り立て槽口に酔う

掲載号 11年03月05日号

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昔ながらの厳寒手造りの醸造酒の槽口(ふなくち)を試飲する新酒祭りが2月26日夜、尾道市因島田熊町の備南酒造(有)=藤本久子(79)社長・蔵元=で約250人の左党衆が集まって無礼講の酒宴に花を咲かせた。

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女人禁制の聖域だった仕込み蔵に立ち入り、失明した亡夫淳一さんの指示通り2人3脚で酒造りを続け全国初の女性杜氏(とうじ)が誕生、話題になった。

冒険だったのは酒蔵を一般開放しての新酒祭りだった。酒蔵の中に住み着いた酵母菌に雑菌が混入して醸造過程に変化が生じないかなど心配はあった。

フタをあけて見ると、こうした心配のタネは払拭され、今年で20年目を迎えた。常連の顔ぶれや「一生に一度でいいから搾り立ての槽口を飲んでみたかった」と満面笑みを浮かべる日本酒党の夫婦らが升(ます)酒に酔いしれ、いつもは静かな蔵の中もこの夜ばかりは春爛漫の空気に包まれた。

写真は創業99年の酒蔵で新酒祭り。

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