イノシシ急増被害深刻【3】思案投げ首

掲載号 08年12月13日号

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 駆除した死骸は、置き去りが許されない。大きなイノシシは100キログラムもあり大型のごみ焼却炉でも完全に焼けない。埋めるか、食べるか始末しなければならない。

 ある島では、町有林に穴を掘り共同捨て場をこしらえた浜辺に埋めたら波に洗われ骨が出て苦情が出たという島もある。その他、駆除頭数が年間600頭を超えた倉橋島では、たい肥にするだけでは間に合わない。そこで県内の動物園に「ライオンの餌にしないか」と持ちかけたら「食肉合法ルートじやないとだめ」と断られた。

 いっそのこと人間に食べてもらおうと食肉化施設を計画した。ヒントは近くの蒲刈町が思案の結果、町営宿舎のレストランで「ぼたん鍋」にしたところ2カ月で300食売れた。このことが新聞に出たことで保健所から「肉の仕入れは食肉業者でしょうね」と警告され、この企画は中止された。

 猟期に入ると、瀬戸内海のいくつかの島には、四国愛媛や高知県、本土から猟犬をつれてハンターが渡ってくる。島の山は、さほど深くないので猟場の広さがてごろ。それに「島のイノシシは霜降りで脂が乗ってうまい」と評判もいい。

 キジしかいなかった因島の猟区に突然、イノシシが現れた。いったん住み着いたからには、絶滅はむずかしい。イノシシを害獣とみるか、特産物の資源にするか、ハンターの獲物とみるか。島民と共生の道を探り抜本的な方針を練り直す必要がありそうだ。

(村上幹郎)

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