芝居「秀策・虎次郎物語」因島公演を終えて

掲載号 08年11月15日号

前の記事:“新設のシネマ尾道で映画「靖国」を上映 12月7日中村助監督登場
次の記事: “市民劇団尾道てごう座 合併の垣根越え因島初公演 感動の余韻残した本因坊秀策伝

 冷たい晩秋の曇空だった9日。観客がひいた因島市民会館大ホールは暖房が入っていなかったにもかかわらず温もりが残っていた。

 昨年秋のこと、NPO法人尾道てごう座の田島美鈴さんから「碁聖・本因坊秀策」をお芝居にしたいと相談があった。開口一番「やめときんさい」と一言。原作者としては嬉しい話であるが、囲碁といえば抹香臭いイメージが強く一般受けしない。漫画の「ヒカルの碁」やNHK大河ドラマの「篤姫」で囲碁に興味を持つ人が増えたとはいえ1時間半の芝居の中で観客を納得させるのは難しい―など理由をあげた。

 両者の共通点は、地域文化掘り起しをライフワークにしていることだった。スタートは後代「碁聖」と仰がれる秀策幼名虎次郎の時代的背景の勉強会を重ね、生家跡、墓参での公演成功の誓いなどで稽古のテンションは上がった。幕をあけると評価は上々。「灯台下暗しだった秀策の生涯、偉大さが理解でき因島の自慢のタネが出来た」と、冥利につきる言葉をいただいた。

関連書籍

E