山畑のセイタカアワダチソウは競うごとミカン木の間で風に揺れおり

掲載号 08年10月18日号

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大西いしゑ

 この花の咲くのは秋の盛りである。JRの在来線に乗って旅をしていると、沿線沿いに黄色に輝いて咲いているセイタカアワダチソウを見かける。また、休耕田のようなところに、また、ときに大群落を見かける。一説には、この花の花粉が人間の体内に入るとゼンソクをひき起こすといわれているが、誰が言い出したのか、噂とは怖いもので「らしい」がいつの間にか「そうである」になるもので、実際にはアスベスト禍の方がもっと怖い。

 詠まれてある情景は、山際のミカン畑の木の間に、あちらこちらと、セイタカアワダチソウが生えて、黄色な花色を競うかのように咲き、秋風にゆらゆらと揺れている。セイタカと言われるだけあって、1メートルから1.5メートルはある。

 ミカン畑にこんな草を生やすということは、ミカン作りをやっておらずに、手入れ(除草、剪定、施肥)もせずに、放置しているのか、または、作り手に何らかの(高齢・病気)理由で作業が出来なくなった畑かも知れない。セイタカアワダチという草は、2、3年放って置くと大株になって手もつけられぬ程になり他のミカン木の陰をしたり、土壌を荒らしてしまう。また。この種類は、地面の何もない場所では、すぐさま芽を出す。ミカン木とミカンの間の地面などは最適の場所である。このセイタカアワダチは、他の雑草(かずら、蓬、どくだみ)の類のように、蔓を何メートルも伸ばしたり、地下茎を伸ばすこともなく、その場で株が太るのみであって、新天地に種を飛ばさない限り、1か所では自滅するという弱点をもった植物である。近ごろは、これの冬枯れをした軸が意外と固く、垣根作りの材料、手芸の材料などに広く重宝されていると聞く。

(文・池田友幸)

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