時代的背景を紡ぐ 本因坊秀策書簡【11】NHK大河ドラマ「篤姫」と囲碁(その11)

 既に当十五日御迎として跡部候御出立相成り申し候。此の御婚礼等相済み候得ば追々世の中も穏かに相成り申す可く哉と諸人祈る処に御座候先は尊報旁々右申し上げ度
草々敬具

 尚々十九日御暇拝領物も相済み候。昨日村瀬弥吉儀剃髪秀甫と改名、何れ近々昇段も致す可く、芸も益々相進み何分安心相願い申し候。先頃御頼みの仁安宅、延引恐れ入り申し候。則ち差し上げ申し候。永井犀介盤石号当時高名家也。御当前加入致し申す可く存じ置き候処篤君念徳と相認め候得共紙も色紙え認め候事故、認めなおし相頼み候も気の毒故、其の儘差し上げ申し候。外に一枚差し上げ申し候。与市潭香と号す素人に候得共菁書也。高島四郎太夫と此人当時天下書の両関と申す事に御座候。京都海屋先生様よりも書は上と申す事也。高島は旋稲香直門、潭香は江雲蒙直門也。両人共清朝風也。盤谷は董其昌清朝風交の由也。
 御城碁の儀御心配遊ばす可き哉に存じ候間先月二十五日この段申し上げ置き候故延引御仁恕遊ばす可く候。御地辺米下落の由、何分目出度き儀と存じ候。当地はやはり百俵に付八拾五両位にて諸人難渋諸色は益々高値に相成り申し候。

 この手紙によると、因島外浦町の実家の普請(ふしん=建て直し)のお祝い、前回11月26日附の手紙で書けなかったお城碁の勝敗結果、和宮様御降嫁、弟弟子の村瀬秀甫(弥吉)剃髪(ていはつ=頭髪をそり落すこと)、郷里の尾道から江戸に来ていた長尾浩策(幸作)のことなどについて述べている。
 秀策の郷里、因島外浦に昭和34年まで残っていたムギワラ屋根の生家は、万延元年の建て替えのままだった。江戸の秀策も、老父母のため普請を喜び、経済的援助も四拾両とお祝いの書画などを贈ったことが書かれている。
 この年のお城碁は11月17日予定の将軍家茂の出座、上覧は22日に延期され、さらに12月8日に再延期された。下打ちは寺社奉行立ち会いで終っていたが上覧がまだだったので秀策としては勝負の報告を伝えることができずにいたことを説明。「相変わらず勝に候間御安心遊ばす可く候」と対局譜の写し20通を送っている。
 この時の対局は林有美の先番を受け秀策四目勝ちを収めた。秀策十九連勝の第十七局目にあたる。
 さらに米価をはじめ物価高、貨幣価値低下にふれ、京都から将軍家茂の正室に和宮様御降嫁のことに触れている。江戸からの御迎えに跡部候が15日御立ちになったことを伝え、和宮様は碁好きの父仁孝天皇の第八皇子。将軍家茂も碁好きということで囲碁ブーム再来に期待を寄せていたことが文面から伝わってくる。
(庚午一生)

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