「社会を明るくする運動」入選作文【14】少年とゆがみ

尾道地区保護司会(村上俊昭会長)が行った第71回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテストで表彰された作文を掲載する。

少年とゆがみ(中学校の部 尾道市入選作品)

久保中学校2年 高垣星那(せいな)さん

父が、読んでいた「ケーキの切れない非行少年たち」という本。私は、ケーキが切れないって、なんだろうと思い、読みだした。読んでみると、すらすら読めた。非行少年の話だとは、思っていなかったのもあるし、読んでみると、そうなんだと思うことも多かったからだ。読んだ感想を簡単にいうと、思っていたのと違った。けど、結果的にいろんなことを考えることができて、よかったと思う。

印象に残ったのは、全てがゆがんでみえる少年の話だ。ある図を少年に、見てうつしてもらう。すると、一つ一つのパーツは、同じなのだが、もとの図より細長くなっていた。世の中のこと全てがゆがんで見えている可能性があるということだ。写すときは、もとの図を見てやるので、上手に写せないということは、見る力がこれだけ弱いということらしい。そして、見る力が弱いと、おそらく聞く力もかなり弱いだろう。だから、大人の言うことが殆ど聞きとれないか、聞きとれてもゆがんで聞こえている可能性があるというのだ。このことが、この少年の非行の原因になっているのではないだろうかと考えられていた。私は、写すのが下手ということではなく、見る力、聞く力が弱いということだとは思っていなかったので、とても驚いた。ゆがんでみえるというのは、何となくわかるのだが、ゆがんで「聞こえている」という表現を聞いたことがないので、どういうことかわからない。けれど、聞いたことを、文にして書いて、ゆがんでみえたのが、きこえるということなのかなって想像した。

このように、ゆがんで見え、ゆがんで聞こえる少年は、これまで社会で生きにくい生活をしてきたのではないだろうか。つまり、これを何とかしないと少年の再非行は、防げないのではないか。この少年が写した図をベテランの教官たちに見せたそうだ。すると、みんな驚き、ある人は、これならいくら説教しても無理だと言った。教官たちがすぐに理解したのは良かったが、どうしてこういった事実に今まで気付かなかったのかが意外だった。気付かずに、厳しい指導をしていると、余計に悪くなってしまう。もしかすると、凶悪犯罪を行った非行少年の中に、かなりの割合でこういった少年がいて、成人の犯罪者も同じような人がいるのではないかと感じた。もちろん、障害のある少年だからといっても犯罪行為は許されることではない。

社会でとても生きづらく、罪を犯してしまった少年。実は物事がゆがんで見え、聞こえるという特性を抱える少年。何かが必要なのではないか。その何かとは何だろうか。だれかが、正しいことを教えてあげることだろうか。困っている時、助けてあげることだろうか。答えは、これらを含めた支援だと思う。本来は支援されないといけない障害をもった少年たちが、なぜ罪を犯してしまったのかが問題なのだ。ケーキの切れない少年たちがケーキを切れるように、支援することが、必要とされているのだと感じた。

第71回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテスト 表彰者の皆さん

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