因島で見た野鳥【122】マガモの換羽②繁殖羽から非繁殖羽(エクリプス)へ

前回【121】、マガモ・オスの繁殖羽から非繁殖羽への換羽の様子を紹介した。引き続き、非繁殖羽から繁殖羽への換羽の様子を紹介する。

写真①(昨年8月10日撮影)は、前回の写真⑤の個体と同一で、非繁殖羽への換羽が完了した状態(エクリプスともいう)である。

写真①非繁殖羽のオス(エクリプス)(8月10日)

飛行は可能で、一時姿を見失ったが、写真②の姿で、9月13日に再び姿を見せた。厳密にいうと、写真①と②は同一個体でないかもしれないが、ここでは、説明を簡潔にするため、同一個体と見なして紹介する。

写真②繁殖羽への換羽の始まり(9月13日)

なお、別の個体を連続的に観察して、ほぼ同様な傾向を確認はしている。写真②では、茶褐色の頭に緑色の斑点が現れ、腹の色もやや白味を増している。

この変化は、時間とともに進行し、10月14日に撮影した写真③のように、首には茶色が残っているが、頭部はほぼ緑色、首の白い輪も出来上がり、背と脇・腹は灰白色に近づき、尾羽にもカールの兆候が見える。

写真③換羽が進む(10月14日)

なお、この換羽では、風切羽・雨覆は、一斉に脱落・換羽するのではなく、少しずつ換羽するので、(121)で述べたような劇的な変化はなく飛ぶべない期間はない。

写真④(10月18日撮影)では、さらに換羽が進み、首も緑色になり胸もブドウ色に換羽し、尾羽のカールも完成した。

写真④ほぼ繁殖羽(10月18日)

写真⑤(11月3日撮影)では、繁殖羽となって、「つがい」形成に挑んでおり、(121)の写真①とほぼ同様になっている。

写真⑤マガモ・オス パートナーを得た?(11月3日)

これ以降は、北から渡ってきた多くのマガモに混じっているので、個体識別はできず、観察を終了とした。しかし、これで、ほぼ1年間のマガモ・オスの換羽の様子を見ることができた。

常々思っていることだが、因島の淡水域や干潟などは狭小のため、大きな群れの飛来や種の多さを、期待できないと思われるが、逆に、比較的近くで観察でき、同一個体を自然界で追跡調査するチャンスもある。本連載【120】のヒドリガモや今回のマガモなどの観察では、足環をつけるとか飼育下に置くなどをせずに、幸運にも、同一個体の野生のカモを長期にわたって観察できた。

最後に、非繁殖羽のカモ(オス)だけをエクリプスという理由を述べる。

多くの野鳥は、春から夏に繁殖し、そのときの羽衣を繁殖羽(生殖羽)、秋・冬は繁殖せずに、そのときの羽衣を非繁殖羽(非生殖羽)という。繁殖羽を夏羽、非繁殖羽を冬羽ともいう。カモ類も、春から夏にかけて繁殖し、秋から冬は非繁殖期である。

しかし、カモは冬にすでに繁殖羽になり、夏には非繁殖羽になるので、冬に見るカモの羽(繁殖羽)は、そのほかの野鳥の夏羽(繁殖羽)に相当し、夏に見るカモの羽(非繁殖羽)は、他の野鳥の冬羽(非繁殖羽)に相当するので、カモの羽衣を夏羽、冬羽というと混乱しやすい。そこで、夏に見るオスの羽(非繁殖羽)をエクリプスと特別に呼ぶ。本連載では、繁殖羽、非繁殖羽と表記している。(12月22日・記)

写真・文 松浦興一

因島で見た野鳥【121】マガモの換羽①繁殖羽から非繁殖羽(エクリプス)へ

因島で見た野鳥【120】ヒドリガモが飛んだ

 

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