雨の日は雨を楽しみ茶を点てて骨董磨きし在りし日の義父

半田ミチエ
 人と心が通う喜びは人を幸福にする。心が通い合うと感じたとき、人は生き生きと話し、爽やかに笑む。こうした素地があれば、人は思い出の断片から、心に温かさを感じ、爽やかな笑みを浮かべるだろう。この作品には義父の在りし日を偲ぶ心が詠まれていて、家族愛について考えさせられる。


 それまでは他人であった男性が、義父という立場から日常の些事にある程度の介入をしたり、逆に息子の配偶者から介入されたりする。こうした異なる考え方の交換は、家族全体に微妙な作用を及ぼす。
 この作品で例えれば、「雨の日は雨を楽しみ」という、それまで見たこともない義父の生き方に接した驚きが、驚きを受け入れる温かさに変わり、つぎに、作者の興味も、茶から骨董へと広がり、そうした変化が柔らかに詠まれていて、まことに快い。
 作者の受容力が、こうした交流を生み出したのだ。「骨董磨く義父」を見守る目も、実に温かい。
 骨董品というと引き合いに出される例の鑑別師の名文句「いい仕事してますねエ」の「いい仕事」には、持主の骨董磨きのような手入れも含まれるようだ。
 先日、池田友幸氏から骨董磨きのさわりをお聞きし、氏の薀蓄、【1】素材が大切【2】毎日の手入れが必要【3】骨董品自身の持ち味を生かす・・・に感嘆した。
 骨董家には骨董に茶を点てる余裕が求められる。まして人との心の交流には何が必要だろう。未知の知恵Xなら、知恵Xにふさわしい人柄になりたい。
(文・平本雅信)

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