因島文学散歩【14】因島公園(因島土生町)

麻生イトさんが実名で登場する今東光の小説『悪名』を出すと、聡明な読者なら、そろそろネタ切れが近づいたな、と感じられるに違いない。そしてこの連載があと何回続くか、賭けてみようという人たちが出ても仕方がない。

麻生イトさんは悪名の中に度々出てくるがフィクションであるから、その場所の特定は難しい。イトさんゆかりの地は、生名島、ナティーク城山、土生町の麻生旅館、それに元日立造船の工場とたくさんあるが、工場の中を歩きましょうと書くわけにはいかないので、それらが見える因島公園へ桜を見に行くついでに行くのがよいだろう。第一公園というのでしょうか、ホテルいんのしま西側を南へ進むと、先端付近に生誕百三十年記念碑もあるから見てきてください。

麻生イトさんといってもご存知ない方もおられると思いますから、今東光さんの描写で想像してください。

主人公朝吉のセリフ

「ただ者やないで。どや。頭は断髪にして男みたいにチックつけて分けてたし、大島絣の筒袖や。それに男みたいな大幅の縮緬の兵児帯しめて、ぎょろりと大きな目玉を剥いた格好は」

麻生旅館の女中の説明

「あのお方は麻生イトさんいいましてな。亥の八白という星出す。尾道の宿屋の娘に生れはって、二十三の時に離別しやはりました。それからこの因島に渡って、男でも容易やない解船業をやらはったんで」

今東光『悪名(後編)』(角川文庫)、61頁。

(文・写真 因島文学散歩の会・柏原林造)

生誕130年記念誌 麻生イトの生涯「女傑一代」より

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