ふるさとの史跡をたずねて【82】逆針羅針盤(上島町佐島八幡神社)
逆針羅針盤(上島町佐島八幡神社)
佐島へ行ったら八幡神社=写真下=へお参りし、拝殿の天井を見上げてみよう。十二支で書かれた方位盤が吊り下げてある=写真上。
国語辞典の巻末付録などで確認できるが、子(ね)が真上で北になり右回りに丑寅卯(東)辰巳午(南)未申酉(西)戌亥となる。これを天井に貼ってその場所の方位を示そうとすると、東西が逆になって使えない。(国語辞典のその頁を開いて、下から眺めてもらいたい)。
ということは、神社の天井にある方位盤は、そのために東西を逆にしたものか、あるいは逆にして使っていたもののお古、のどちらかである。
佐島八幡神社のは、甲種船長繁村清太郎氏奉納のもので船上で、中心に方位磁針を置いて使われていたものである。
それでは方位がわからなくなるではないかと、思われるだろう。その通りである。方位はわからなくても、進行方向がわかると書くと、ますます混乱する。ここからが今回の主題である。
磁針は常に北を指す。方位盤は船に固定しておく。その時舳先を北にする。船が北を向いている時、磁針の指している方位盤は北を示す。右へ90度回転して東に船を向けると、左にあった方位盤の東が90度回転して磁針の指している北の位置に来る。すなわち、磁針が指すところが進行方向になっている。
方位盤の東西が逆になっているので、逆針羅針盤と呼ばれる。同様のものは重井町の伊浜八幡神社にもあるが、その意味は佐島八幡神社にある岡本馨氏によって奉納された説明板によってわかった。
(写真・文 柏原林造)
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