因島にて…Ⅱ 地域から見えるもの【13】津波を考える(6)

 被害を防ぐにはどうするか。三連動地震では、大きな揺れにつづいて津波が確実に来る。しかも到達時間が早い。避難行動を急がなければならない。今村文彦教授は、車の利用について、警告している。

―ただ、この時、老人など歩けない方もいますので、車などの利用を考えなければなりません。ただし、心配なのは渋滞です。そのため普通に歩ける方は車を使わずに避難していただきたい。

 車を使うといかに危険であるか、インドネシアのスマトラ沖地震などを例にあげながら説明する。

―低い道路というのは、津波が一番襲いやすいのです。(中略)市街地に入ってくる津波は、まさに道路を駆け抜けてきます。徒歩だと、何かにつかまって、高いところに上るといった行動がとれます。車はとっさの動きができず、流されるしかない。車に乗っているとドライバーの視野はとても狭くなり、ある方向から津波が来ても、認知できない。見えた時はもう遅いのです。

 津波に対するハード面の対策として、防波堤、防潮堤、避難ビル。そして船などの漂流物を防ぐ柵を紹介している。これは、北海道の釧路に実際あり、ガードレールみたいなもので船をブロックして、津波で陸にあげさせないようにするものだという。
 今村教授は、「やる気さえあれば、比較的短時間で対策が可能」である、ソフト面も重視する。

―まず知識を得ることです。巨大地震が起こった時、気象庁や自治体の情報は断片的にならざるをえません。津波の高さはわかっても、先ほどの津波の速さといった情報はわかりません。たとえば、震源から離れた瀬戸内海沿岸で、津波が高くないからといって油断していると、流れの速い津波に襲われる可能性があります。地域によって高さが増幅したり、あるいは第一波よりも高い津波がくることもあります。第五波が一番大きいという事例もあるのです。

 そして教授は、震度が弱くても、高い津波が発生する「津波地震」の事例をあげる。

―1896年の明治三陸地震は、震度は2~3と揺れが小さかったため避難する人が少なく、北海道から宮城まで襲来した津波によって2万2千人の死者を出しました。東日本大震災と同じ三十八メートルに及ぶ津波遡上高も観測されています。

 実は、南海トラフを震源とする1605年の慶長大地震も、揺れが大きくなく、津波地震ではないかと言われています。一つ事例があるということは、今後も起きる可能性があるということです。
 東日本大震災の津波被害をうけて今村教授は、必死に被害防止策を訴えている。自分のまわりの地域を具体的に知っておくことの大切さを説く。

―そのために役立つのがハザードマップです。ぜひ、ハザードマップを見ながら、町を歩いてシミュレーションしていただきたい。どこに避難場所や避難ビルがあり、たどり着くまでに何分かかるか。途中に危険なブロック塀がある、河川があるから危ないとか、普段見えない状況が見えてきます。自分の家のまわりだけではなく、子どもが学校にいる時、登下校時はどこに避難場所があるのか、広く知っておくことも大切です。

 今村教授は最後に、マグニチュード九の四連動巨大地震の可能性にも言及している。
(青木忠)

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