【祝カープリーグ連覇寄稿】「夢の中へ」岡田源太郎(マリン歯科クリニック)

♪探し物は何ですか? 見つけにくいものですか?♪

不倫で一躍有名になった斉藤由貴が歌ってた。

その名も「夢の中へ」。

岡田源太郎氏

昨年の日本シリーズ第6戦。おれはテレビの前で日本ハムの優勝を見届けた。おいおい。こちとら第7戦のチケット持ってんだぜ。明日球場で喜びの絶頂を迎える気ビンビンだったのに、「夢の中へ」行きそびれたじゃねーかよ。そんなホテルの部屋にまで入って「一線は越えません」みたいなおあずけありですか?

「カープファンの皆様、優勝おめでとうございます」

たった一年前だ。緒方監督はリーグ優勝を決めた後のインタビューで高らかにこう言い放った。

あの時、「この調子で来年もリーグ優勝するんじゃ」と信じたカープファンは楽観的すぎるだろう。なにしろ25年ぶりの優勝だ。

25年前といえば、ジュリアナ東京や101回目のプロポーズが流行し、今では当たり前の携帯電話なんて誰も持ってない時代だ。ここ因島もまだ因島市で3万人以上の人が住んでいた。おれの腹も出てないし、頭髪の薄さを気にすることもなかった。そんな気が遠くなるような年月を経て得た優勝だった。

それだけに広島の街は熱狂し、また一方で冷静なカープファンは、「来年はそう簡単にはいかんのんじゃないんか?」と連覇には懐疑的だったはずだ。おれもその一人だ。

新球場になり、黒田パイセンが復帰し、巷にはカープ女子(という名のオバチャン)があふれ、流行語にまでなった「神ってる」。

普段物静かなオジサンが恥ずかしげもなくカープユニフォームを着るようになり、一杯飲みに行けばとりあえず生中ではなく、とりあえずカープの近況。

本屋にはカープ本が平積みされ、どこのショッピングセンターにも必ずカープグッズコーナー。

SNSには毎日のようにリア充カープファンたちの投稿がアップされるようになった。

ここ数年のカープフィーバーは変わることなくすさまじい。

しかし昨年の優勝後、変わったこともある。神ってる打撃はもはや偶然ではなく必然となり、逆転は日常茶飯事、カープのお家芸となった。連勝は当たり前、負けても「たまには負けてやらにゃあのう」という余裕が生まれた。シーズン中盤からは優勝して当たり前の雰囲気。まるで勝利を宿命づけられた常勝軍団であるかのように…

おれには今年のカープで印象深いシーンが二つある。ひとつは5月6日の9点差をひっくり返された阪神戦。もうひとつは8月後半のDeNA戦、3試合連続逆転負け。

「言うは易く行うは難し」。

2連覇を期待され負けられない状況下、ケガによる離脱者もある中での戦い。

ブラックホールのようなプレッシャーを受けつつ逆転負け。

野球が面白いのは、野球を自分の人生と重ね合わすことができるからだ。なぜなら野球とはドラマよりドラマチックで信じられないことが起こる。一つの勝利に震えるほど喜び、たった一球の失投に涙し、一つのエラーに落胆することもある。また時に果てしなく退屈でつまらないこともある。だから観る人の数だけストーリーがあり、様々な解釈が存在する。今年のストーリーは果たしてどう映っただろう?

「カープファンの皆様、優勝おめでとうございます」

飼い主に遊んでもらっている時の子犬のように歓喜し、はしゃいだ昨年の優勝。それから変わったこと、変わらなかったこと。昨年とはまた違う思いが去来する今年の優勝。

しかしまだ、おれたちの戦いはここで終わったわけではない。去年くらったおあずけ。たったひとつのわすれもの。

日本一という名の探し物を見つけに、「夢の中へ」行ってみたいと思いませんか。

マリン歯科クリニック・岡田源太郎

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