【因島総合病院100周年記念特集】地域医療と関わって20年


image_print印刷用レイアウトを表示

在宅医療と関わって20年以上。いろいろ印象に残ったことがあります。こんなことがありました。90歳前半の男性。呼吸困難で救急入院されました。胸部CTでは肺気腫と肺がんがあり、もう終末期状態。それに肺炎が合併して呼吸が急に悪くなったのです。予後もあと数週間。家族は、娘一人。延命治療は拒否。とにかく、肺炎の治療をまずしました。

1週間後、病状は悪いながら、小康状態になりました。しかし、酸素マスクが外せる状態ではありません。娘さんが病棟に来られて、相談があります。「あとどのくらい持ちますか?」(長くて、数週間ぐらいですか)「実は、父が元気だったころ、死ぬときは畳の上で死にたいと常々申しておりました。もう幾ばくも命が持たないなら、家につれて帰ってやりたいのです。」

一瞬、私も引きました、が(やってみましょう)と答えていました。

それからは、介護ステーションに連絡、介護タクシーの手配、在宅酸素の設置、ケアマネジャー、ヘルパーさんへの連絡…あっという間に一週間。いよいよ退院の日です。私は救急セットを持って、介護タクシーに同乗。家まで35分。なにごともなく、家に到着。在宅酸素がスタンバイ。床の間に寝かせると、おじいさん、自宅を見回して嬉しそうな表情。何度かうなずき、手を握って、小さく、(ありがとう)

毎日、看護師が訪問しました。「大好きなサイダーをこれくらい飲んでくれた」「スイカを少し食べて、美味しいといった」娘さんの話は生き生きしていました。

在宅数日後、意識が落ちて、SpO2も悪化。夕方病棟の仕事を切り上げ、臨時の往診。(いよいよの様です。今晩かも知れません、急変があったら連絡ください)

結局、翌日の昼でした。外来診察中に、訪問看護から連絡が入りました。

外来診療が終わるとすぐに、往診。床の間でおじいさんの穏やかな顔。悲しみの中にも、娘さんの満足な顔がありました。

因島で在宅医療に取り組んでみると、いろいろな問題点があります。マンパワーの不足、独居の方や老老夫婦の世帯が多い、在宅についての理解不足、受け入れ体制の不備などなど。

因島総合病院では、在宅医療をサポートする体制作りをしています。

現時点で、本院の訪問診療を受けている方は、23名。(女14名、男9名)。

因島内18名、島外5名、平均年齢88.3歳(60歳~100歳)。

スタッフは、医師2名、看護師2名です。

在宅医療でお悩みの方は、お気軽に地域連携室までお越しください。

副病院長 森脇和彦(オレンジドクター、緩和ケア)

100周年に向けて因島総合病院の昔の写真や関連するものを探しております。お持ちの方はご連絡をお願いいたします。電話0845-22-2552。