2004年、因島史上最大の住宅密集地域大火災 13棟42世帯全焼1人死亡83人が罹災 災害対策本部 連休返上で対応支援

2004年5月2日午前0時50分ごろ、因島市土生町新生区のNTTに隣接する木造集合住宅から出火した火災は、因島消防史上最大の住宅火災となった。出火当時、広島県南部は乾燥注意報が発令中で、火はまたたくまに燃え広がった。全焼13棟、半焼1棟、部分焼1棟、ボヤ8棟の23棟、延べ4600平方メートルが焼失し、42世帯83人が焼け出された。砂田多嘉子さん(74)は焼死。孫の吉岡靖聡さん(24)が負傷した。

白亜のNTT南側に横たわる黒い瓦礫の山=因島公園から撮影

復旧対策が急がれる無残な焼け跡

被災者の大半はその日のうちに親戚や知人宅に身を寄せ、土生公民館で過していた2所帯4人も5日午前中、他のところに移った。被災者22世帯が市営住宅に入居を希望し、そのうち3世帯の入居が決まった。

集合住宅街の惨事

被災者が「位牌を持ち出すのが精一杯だった」と語るように、あっという間に住宅街は火の海と化した。現場は、日立造船因島工場従業員の旧社宅。その後払い下げられ、増改築されたが、多くは棟続きの木造2階建て。その集合住宅が狭い路地をはさんで2列に並んでいた。

片方から火の手は、天井伝いに走り、さらに、たちまちのうちに隣りの列の建物にも燃え移った。午前4時過ぎ鎮圧されるまで約2300平方メートルの1区画が焼失した。付近は住宅密集地で、風向きによってはいっそうの火災の拡大が避けられないところ。だが、火は斜めに、隣接するNTTの建物方向に進み、それが防火壁の役割を果した。

今回の規模の住宅火災は因島消防史上初めての経験であった。全力をあげた消火活動も火の勢いに追いつかず、後追いする結果に終わった。通報後約3分で化学車とポンプ車が現場到着。約4分後放水開始。因島市瀬戸田町消防組合や地元消防団尾道地区消防組合から約170人、消防車24台が出動して消火にあたった。

4カ所の消火栓から放水をつづけ、さらに干潮時ではあったが、地元消防団の5台の可搬式ポンプで2カ所から海水を取水し、消火用水を確保した。消防は、出火場所の火勢をたたき、鎮圧することに全力をあげた。しかし、火の勢いはそれを上回り、くいとめられなかった。

急がれる消防行政見直し

今回の集合住宅火災は、因島市の防火防災体制の弱点を浮き彫りにする結果となった。密集地の木造集合住宅の防火・消化対策をどうするのかである。

日立造船因島工場が払い下げた旧社宅は、土生町と三庄町9区に多くある。それらの多くは旧建築基準法下のもので、火災の面で以前から危険性が問題にされてきた。しかし、それに真剣な施策がたてられ、実行に移されているとは言い難い現状がある。通常の消防行政の延長線上には解決策はないと厳しく指摘する人も多い。

木造集合住宅の防火対策をどうするのか。いったん出火した場合、従来の消火活動で対応できるのか。消防署・消防団の人員は足りるのか。住民の防火・消防活動をどのように確立するのか。課題は、緊急かつ重大である。

(青木忠)

被災者一覧

被災者の避難先問い合わせは土生公民館08452-2-0032。

世帯主 年齢 家族数
宗政 健一 73 2
大和 弘幸 71 5
白井 照男 ? 1
内河内久野 84 1
楠見 訓久 63 2
越智 真吾 45 3
岡本 利子 45 1
串野 清家 ? 2
上杉 昌行 51 4
大亀 敏康 53 1
川本 雅史 51 3
三河小夜子 60 3
村上 洋子 ? 1
妹尾 久夫 58 3
竹岡  勝 ? 1
岩越 正晃 69 2
村上 照範 54 2
阿波 野等 68 2
森畠 哲也 ? 4
大野  修 52 3
塩見 シズ 89 1
金澤 末光 78 2
白石 亀夫 79 2
河村ミサヲ ? 2
岡本 島一 81 2
松崎ミツエ ? 1
川又 澄夫 77 2
金澤 千枝 80 1
壇上 勝人 ? 1
岬茂  春 81 2
米  芳明 72 2
柏原 義弘 66 2
多賀 雪子 ? 1
砂田多嘉子 74 1
吉岡 哲夫 56 2
村上 伸一 57 2
尾藤  満 ? 1
曽我 政夫 54 2
馬越  勉 80 2
小田 彰彦 40 3
牧本 敦則 75 2
近藤 三夫 80 2
富田 憲孝 60 1

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