福島放射能汚染地域に生きる子どもたち【19】

掲載号 13年08月03日号

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経済的に裕福な家庭は遠くの安全な野菜を買い、ペットボトルの水でご飯を炊き、料理するのですが、そうじゃない家庭は、最初は放射線を気にしていても経済的な理由で、徐々に諦めていって、まず水道水を使い、地元のものを買って、子どもに与えることとなります。ここでも格差が、子どもの命や健康と直接に繋がっているのです。

中には親は地元のものを、子どもは他府県のものを食べる二重調理をしている家庭も沢山ありました。現在もこれは続いていると思います。

孤立する母親

問題は嫁と姑の間の意見の相違です。いわき市には農家の方もいます。舅や姑の理解を得た若夫婦もいますが、舅姑が、どうして自分たちが作ったものを子どもに食べさせないのか、福島産のものを子どもに何故食べさせないのか、と若夫婦を叱ることもあって、嫁姑の間が上手くいかなくなったという話を聞きました。上手くいっていた家族が、原発災害によって、ぎすぎすした家族になってしまったのです。

夫婦間でも課題が生まれました。放射能汚染地域に住むことによる子どもの健康への影響です。低レベル放射能汚染地域での子どもの健康にどの様に影響を与えるのかと言うデーターがないのです。

ですから福島医科大学の専門家のように、年間被曝量が100ミリシーベルトまでは問題ないという方もいます。学校の先生方を集めてそう言う研修会を行ないました。また小佐古さんのように年間被曝量が20ミリシーベルトではだめで1ミリシーベルトだと言って涙の記者会見をされる方もいて、私たちはその間で迷いながら自分たちのスタンディング・ポジションを作る以外にないのですが、夫婦の間でも相当の軋轢が生じていた夫婦もいます。子どもは放射能の感受性が高く、また小さい赤ちゃんから3歳、4歳などは成長に伴い細胞分裂が活発ですから、母親としては放射能の影響を受けないようにしたい、将来不安を残さないようにしたいと思っている訳です。

そのために暫くいわきや福島を出て避難したいと訴えても、父親に理解があればよいのですが、夫婦が離れ離れになる不安や経済的なこと、また舅や姑の世話等々、簡単に返事できない事情があって、夫婦間で軋轢が生じてしまうことがありました。それでも避難する親子がいるのですが、いつ戻るのか、或いはもう戻らないのか、そういう所が分からないままなので、夫婦間で苛立ちや争いが生じて、これ以上は待てないと、離婚と言う言葉が飛び出して相談に来られた夫婦もいました。みんなみんな不安なのです。

土屋修二(瀬戸田バプテスト教会牧師・博愛幼稚園園長)

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