火野正平「NHKこころ旅」 因島田熊桟橋の心の風景(2)

掲載号 13年01月26日号

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 NHK心の風景自転車の旅(俳優火野正平)因島人情桟橋の文中、応募された手紙の主、村上節男さんは土生町江の内出身で名古屋、川崎に住んだことは無いというメールがあり慎んで訂正、お詫びいたします。

 火野さんが自転車で乗りつぎ辿り着いた田熊桟橋。今はここを利用する人は殆んどいなくなった。それでいてこの桟橋に思いを馳せる人は数えきれない。進学、就職、家族との別れ、友達や恋人との別離…千差万別である。強いて言えば送り盆の灯籠流しの夜は町民の殆んど全戸の住民がここから先祖を送る。

 もとはといえば瀬戸内海沿岸は港を玄関口として集落がつくられてきた。戦後の高度経済成長時代は白砂青松の海浜を埋め立て臨海工業地帯へと真っしぐらの半世紀。島と陸地をつなぐ夢の懸け橋は車社会を加速、若者は都会へと流れ、少子高齢化に拍車をかけた。

 私の七人兄妹は都会に出たままだが田熊桟橋の思い出を聞かされた甥や姪はお墓参りの次はここを訪れるのが習慣になっている。

(村上幹郎)

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