石切風切宮の一願竜王

掲載号 12年06月23日号

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台風4号が通り過ぎたのも束の間。今度は台風崩れの低気圧が梅雨前線を刺激して大荒れ日本列島は平年の3倍分の降雨量を記録している地域もあるようだ。

タイを旅したときのこと。首都バンコクの郊外は豪雨災害で水田は見渡す限りの冠水で海のようだった。小舟で行き交う農夫は「神様の贈りもの」と屈託ない。栄養分を含んだドロ水が流れ込んで土壌改良をしてくれたというわけ。同じ耕地で一年に二―三回の作物を栽培できるお国柄によるものと理解を深めたい。

話は変って日本の話。毎年「入梅の日」に「水に感謝の水神祭」という珍しい祭が因島外浦町の石切風切宮の境内にある「一願竜王社」で執行される。御祭神は独眼の白大蛇。本殿の神使として一願に限り願いをかなえてもらえる神様として評判高い。大祭には全国各地から清水が届けられ、今年も北海道から沖縄にいたる43か所の名水を献水して古式にのっとり感謝祭。21日は夏至。うっとうしい梅雨もあければ水が恋しい夏がやってくる。

(村上幹郎)

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