沖縄復帰40年 埋まらない日本国との溝

掲載号 12年05月19日号

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 沖縄復帰40年。米軍基地の重圧は今なお続いているようだ。お恥ずかしいことながら、あのころはソ連に比べ米国は神様のように思えた。多くの人々が血を流してまでも占領、統治した「沖縄」を無償で返還。これが隣人愛のデモクラシーだと感銘する日本国民も少なからずいた。

 なかには沖縄の祖国本土復帰前夜を見ておきたいとパスポートを用意して入国した物好きなグループもいた。当時の佐藤栄作首相の「沖縄返還なくして戦後は終らない」という言葉は耳をくすぐったものだ。結果は何も変わらずに復権した沖縄県民と国の溝は埋まっていない。

 一方、北方領土問題はいっこうに進展しない。もっとも、あと終戦が一週間遅れていたら北海道もソ連領土になっていたかも―と、思うとぞーっとする人も多いだろう。かつて北海道に自衛隊の陸上戦力を移したこともあったが赤い壁が崩壊して休戦時代が続いている。

 いま欲しいのは、この先どうなるのか。どう進むのか方向を示すことではないだろうか。

(村上幹郎)

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