姿を消す因島重井区の葉たばこ農家

掲載号 11年09月24日号

前の記事:“元バレー全日本 大山加奈さんが講演
次の記事: “書で因島美術展尾道市長賞 小林己妙子さん(因島中庄町)

 うだる暑さも台風15・16号がツメ跡を残しながら通過すると秋がやってきた。因島地方は農作物の被害もなく「こんないいところはない」と安堵する言葉が交わされる。

 半農半工の島として繁栄してきた因島島しょ部だが。そのバランスは工高農低の時代を推移、ご多聞にもれず少子高齢化による人口減少には歯止めがかからない。商店街のシャッターが目立ち、基幹産業の造船業界は円高、後継者不足に悩み、商店も大手チェーン店に顧客を奪われ、建設協会も解散する惨状etc。

 農家も後継不足に頭が痛い。こんなご時世に政府は葉たばこ耕作地廃農補助金を出すものだから農家は渡りに舟。広島県下で耕作者がトップだった因島重井区の葉たばこ農家が来年から姿を消す。

 専売局からすれば外国からの輸入品の方がコストが安いこともあって国産は歓迎されないようになった。かつての除虫菊栽培の趨勢に似て島の風物詩がまた一つ消えてゆく。県内では神石高原町の3戸が残るだけというのが現状のようだ。

(村上幹郎)

関連書籍

E