世界一になって泣かず、引退で涙せず

掲載号 11年07月23日号

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 ウインブルドンのテニスでは残念続きのテレビ観戦が続いたが、女子ワールドサッカー・ドイツ大会では、まさかの「なでしこジャパン」の快進撃。気持ちのいい、さわやかな徹夜の朝を味あわせてもらった。

 東日本地震津波に原発災害で「神も仏もあるものか」と、怨み節におおわれていた日本列島に勇気を与えた快挙だったといえよう。特に決勝の対アメリカ戦はポールに救われ、バーに助かり防戦一方だったが終って見ればPK戦で快勝。勝利の女神が日本に微笑んだ。神様って本当にいるんだ―と思ったくらい。

 同じころ、八百長問題でやっと喪があけた国技の大相撲名古屋場所。横綱になれなかった大関魁皇が千代の富士関を超えて単独史上最多となる通算1047勝をマーク引退した。世界一になって泣かず、引退で涙せず。目標達成でホッとした心境はこうしたものなのだろうか。優勝も引退も後からじわじわ実感がわいてくるものかもしれない。凡人にはビッグタイトルに縁がないので計り知れない。

(村上幹郎)

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