中庄・奥山ダムほぼ満水 自然放流間もなく開始 非常事態はサイレンで警報

掲載号 09年05月30日号

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 「ほんまに水が堪(溜)るのかなー」と不安の声がささやかれながら標高233.8メートルの奥山中腹に建設された県営奥山ダム(尾道市因島中庄町、有効貯水量27万7000トン)=写真が湛水テストを開始後約1年半でほぼ満水。ちかぢか自然放水が始まる。貯水量が堤防を超えるのを10日間ほど観察、その後約3ヵ月かけて放流してダムの水を落し、のり面など点検確認して本格的な貯水を開始する。

 ダムの型式は自由越流式で危険水位に達する非常事態にはサイレンなどで下流住民に知らせ市職員や消防団員らが警戒に当たる。

 因島の基幹産業は造船関連企業群だが、北部は県内有数のそ菜産地で悩みは降水量。そこで安定水源を確保する農業用水確保のダム建設の準備に国県市で取りかかったのが1991年。ダムという大構造物は島の人にとって想像もつかない建造物だった。1996年に用地買収、取り付け道路に着工。2004年にダム工事着工。2008年3月堤体工事を完了した。総事業費は当初33億円の予定だったが計画変更などもあって74億7000万円。このうち国50%、県30%、地元尾道市(旧因島市含む)20%を分担した。

 完工した奥山ダムはコンクリートの重さで貯水の水圧を支える「重力式コンクリートダム」で、断面形状は逆三角形の一般的な形式。上流堤の幅は1006メートル。ダムの底から一番高いところは33メートルで8階建てビルの高さ。満水面積は3㌶で27万7000立方メートルの水を溜めることができる。

 水源は湖底の奥山大池と導水路で大山新池からダムへ水を引き入れる仕組みになっている。現在、尾道市因島総合支所の産業振興課のテレビモニターでダムの貯水状態を監視しているが29日正午の貯水量は97.7%。5月中に満水予測を立てていたが降水量が少なく「あと、ひと雨」というところで足踏みをしている。

 ダムの本体工事は完成した。昨年度から送水管を埋設する工事を始めているが因島中庄町の油屋新開2.4キロの幹線送水管と仁井屋新開を結ぶ支線のパイプを埋設。給水開始は2010年4月の予定。さらに次年度で重井東部ほ場までの幹線埋設にかかり給水開始は12年度で、県の畑地帯総合土地改良事業による経済効果所得額は7億6000万円とはじいている。

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