越年した衆院選を探る【2】任期満了を迎える知事選と三原、庄原両市ダブル選挙

掲載号 09年01月31日号

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リスクの裏表

 亀井陣営も複雑だ。小選挙区で争ってこそ比例票も増えるが、激戦でなければ投票率も上がらないし獲得票に陰りが出かねない。

 実際、前回選挙では6区の激戦票の上乗せ比例票が島根2区から重複立候補した亀井久興氏(69)(国民新党幹事長)の当選に大きく役立ち、ぎりぎりで滑り込んだ。だからこそ6区の選挙戦を低調にするのも戦術の一つだとうそぶく自民関係者。闘わずして野党の議席を減すというわけ。

 「自民党は恥を偲んでバッシングを受けても国民新党の比例票を減らせばいい」といった噂まで流れているのも6区の行方については地元だけでなく全国からも注目が寄せられていることを痛感させられる。

7区はがっぶり四つ

 6区の空転に対し7区は、自―民がっぷり四つ。自民党古賀派の内閣副大臣宮沢洋一氏(58)=写真左=に前回1万5000票差まで迫った民主党県副代表和田隆墨氏(45)=写真右=が肉迫している。昨年来激しい前哨戦を展開。宮沢氏は精力的に街頭演説や支持者回り。和田氏も昨年、比例中国の繰り上げ当選で勢いづき活動量は豊富。6区の国民新党現職の亀井氏の支持層取り込みがカギを握っている。

知事選挙構図

 今年の広島県内は、11月に任期満了を迎える知事選のほか、呉、三原、庄原の各市と坂、北広島で首長選があり、平成の大合併後のまちづくりをめぐる論争が繰りひろげられる。

 4期日の現職知事藤田雄山氏(59)の動向だが、明言を避けているものの後援会の政治資金不正事件と多選への批判から5選出馬はないとの見方が強い。過去の選挙で藤田氏を支えた自民党の県議会は分裂。民主党系議員が所属する会派と連携する勢力が議会運営の主導権を握るなかで一本化は難しい現状。

 前回自主投票だった民主党は、県議会の構図や衆院選の結果を見て対応を探ることになる。従って「ポスト藤田」のイスは、官僚や国会議員らを推す噂があるものの擁立作業は各党とも具体化していない。

 前回、公認候補を立てた共産党もこれから検討。この先、曲折が予想される。

三原市長選無風

 三原市の首長、議員のダブル選挙は4月12日投開票。現職の五藤康之氏(71)は昨年9月の市議会定例会で正式に立候補を表明。1月31日に城町のマリンビル2階で後援会事務所開きをした。現段階では他に立候補者の動きはなく無投票の公算大。

 旧3町との合併後4年を経た市議選は、合併特例による旧市町村単位で設けられた選挙区が廃止されて初の全市1区の選挙となり小数激選模様。定数5減の32に対し現職31、新人4が立候補の準備を進めているが流動的。

庄原市長選混戦

 合併後2回目の庄原市長選挙は、4月1・2日投開票。前回の無投票から一転して4氏が立候補を表明して混戦模様。2期目を目指す滝口孝彦氏(67)に加え、元市議会副議長林保武氏(73)、元会社員藤原義正氏(51)、元市助役入江幸弘氏(66)の計4人。

 旧市と旧町の調和が争点で財政難と新庁舎の建設問題も問われる。

 市長選とダブル選挙になる市議選は、定数8減の25で28人が出馬予定。定数削減で小数激戦となっている。

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