女は思い通りの人生を選べないが囲碁は思い通りに石を進めることができる

掲載号 08年04月12日号

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 今年のNHK大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」は、宮崎あおいの熱演と大物俳優が脇を固めていることで重厚な映像に仕上がっている。

 福山藩主の老中首座、阿部正弘を草刈正雄が演じているが、阿部公がイケメンで大奥の女中たちに人気があったと伝えられるから適役だろう。5月25日の放送では阿部公が藩校として開校した「誠之館」が紹介されるはずだが福山市民の関心はいま一つ。愛媛県の松山市では司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」の撮影で盛り上がっているのとでは随分違う。

 幕末のファーストレディ篤姫の波乱の生涯は因島が輩出した天才棋士本因坊秀策と時代背景が重なり合う場面がある。

 姫と薩摩のお殿様をはじめ父親、恋人などと対局するシーンには必ず囲碁を通しての意味深い会話があった。原作の宮尾登美子の言葉か、脚本の田渕久美子のセリフなのか「女は思い通りの人生を選べないが囲碁は思い通りに石を進めることができる」と篤姫に語らせた封建時代の比喩は視聴者を感銘させた。

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