窮鼠猫をかむ 波乱の年明けの予感

掲載号 08年01月01日号

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 最寄りの寺院の除夜の鐘が鳴り始めると深夜の屋外は急ぎ足で初参りする人影が増えてくる。「あけましておめでとうございます」と新年の慶賀を交わす風景を境内のかがり火が照らす。

 毎年のことながら年越しそばを食べ、NHKの紅白を観て子(ネ)の刻に百八つの煩悩を除去する除夜の鐘を突き最寄りの神社に初参りする。「神社」と「寺院」の違いなど気にしないのが年末年始の「神仏習合」の風景である。

 去年は「偽」に明け暮れた一年だった。何しろ世相を表す漢字がギ・いつわる・にせを表わす意。一昨年は「命」、その前年は「愛」だった。振り返ると「信」という漢字が見当たらない。

 信じるものがなければ猪突猛進もできない。島しょ部一帯は猪に悩まされた一年であった。今年は子(ねずみ)の年。愛くるしい顔をした小さな動物であるが窮鼠猫をかむ―という言葉がある。弱い者でも追い詰められると強い者にかみつき負かすこともある。波乱の年明けの予感が的中しないことを祈りたい。

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