理髪に生涯をかけて 理容フクダ店主 福田喜代子さん (86)

掲載号 07年12月29日号

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 「私はこの仕事を死ぬまでやめないよ。命からがら苦労してとった免状だもの」と語るのは、因島土生町塩浜南区の理容フクダ店主の福田喜代子さん(86)。同町中央区の福田理容院は弟さんが経営している。

福田喜代子さん

 同店は今年で68年目。夫と妻、そして弟子とで営業してきた。戦時中、夫が兵隊にとられるから喜代子さんも免状をとろうと尾道の学校に通った。勉強する間もない。長男は3歳。7カ月の次男をみごもり、長男に乳を飲ませながら、空高く米軍爆撃機B29が飛ぶなか、巡航船で往復した。土生空襲の惨事も目の前で起きたことだった。常連客の軍艦の艦長もそのとき死んだ。すごい男前だったと懐かしむ。兄は戦死、すぐ下の弟は、広島市の警察学校時代に被爆してなくなった。毎年、比治山公園の慰霊碑をお参りする。

 ミヤコ蝶々の司会で人気のあったABC制作「夫婦善哉」に一緒に出演した夫・光孝さんは平成9年、77歳で亡くなった。12年間店を一人できりもりしてきた

 お客さんとは長いつきあいだ。退職した日立造船OB、愛媛県上島町ら島嶼部から昔と変わらずやってきてくれる。女性のカットと顔そりにも人気がある。

 大三島出身。因島土生町は終のすみかだ。土生港わきの「宮島さん」を30年間お守りしてきたと語る。

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