思い出の写真が綴る「一福屋食堂」ロケ現場 よみがえる渥美清さん

掲載号 07年11月24日号

前の記事:“世界的経済学者・スタンフォード大学 青木昌彦名誉教授 祖先訪ね因島椋浦町へ
次の記事: “指太く土に馴染みし両の掌をハンドソープの泡に包めり

 フーテンの寅さんのロケ現場写真が残っていた。映画「男はつらいよ」―口笛を吹く寅次郎(山田洋次監督)のロケが因島大浜町、現在のしまなみビーチにある、おでん屋「一福屋食堂」であったのは、因島大橋渡り初めが行われた、今から24年前の昭和58年11月20日のことであった。


昔日の寅さんと一福屋食堂の酒井福枝さん

 食堂経営者の酒井福枝さんの長男・節(みさお)さんは、ロケ中の風景を写真に収め、大切に保管していた。懐かしい寅さん役の渥美清さんや、熊さん役のレオナルド熊さんが蘇ってくる。あき竹城さんも若々しい。

200711220010.jpg
おでん屋で撮影待ちをするレオナルド熊さん

 食堂の壁にはロケ以来、渥美さんと酒井福枝さんの2ショットなど思い出の写真が額に入れて飾られていた。それを見るたびに当時の話に花が咲いた。

 映画では、傷心の寅次郎が、大浜町のフェリー桟橋近くの一福屋食堂にやってくる。食事を終え、女将に軽口をたたきながら勘定を済ませ、外に出たところでレオナルド熊の扮する熊さんにバッタリ再会。因島大橋工事現場で働いている。近くには再婚相手のあき竹城が笑っている。

200711220003.jpg
熊さんの再婚相手役のあき竹城さん

 福枝さん自身もセリフ入りで出演している。どのシーンで登場するか、見てからのお楽しみである。渥美さんとは会話を交わし、写真をたくさん撮らせてもらった。レオナルド熊さんやあき竹城さんからは、サイン入りの色紙をもらったという。

 松竹の撮影隊は山田洋次監督をはじめおよそ20人。撮影は5時間くらいかかった。聞きつけたファンが大勢見学にやってきたと言うから、当時のことを覚えている人も多いだろう。

 因島での第一回「出前上映会」にこの作品を選んだのは正解だったようだ。12月9日の上映会が近づくにつれて、反響が広がり始めている。


大浜の海岸で出番を待つ渥美清さん


関連記事
NPOシネマ尾道 因島で出前上映会 12月9日土生町 中央駐車場多目的ホール

関連書籍

E