遊び心を失った行政

掲載号 07年03月03日号

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 福山駅在来線プラットホームへのエスカレーター脇に「鳩にエサをあげないでください」という大きな立て札。いつごろからかホームに鳩が遊びに来るようになった。乗降客が餌をやるから余計に集まってくる。ホームは食べ残しの餌や糞(ふん)害の掃除で駅職員はたまったものでない。

 新幹線工事が福山城のそばで行われ、日本鋼管福山工場建設のツチ音が高まったころである。当時の福山城主徳永備後守こと徳永豊市長が福山城西側の緑地に網を張りめぐらせて孔雀(くじゃく)の飼育を始めた。もちろん市費である。そして「福山市の上空を優美に飛び交いさすのだ」と説明した。すると記者団から「公害ならぬ糞害に市民は悩まされるのでは…」と、クレームがついた。

 その次の立石定夫市長は城下町から工業都市への変貌に「小川にメダカが泳ぎ、赤トンボが飛び交う福山市を取り戻そう」と訴えた。

 昨今は念仏のように「行財政改革」をとなえる世知辛い世の中になり遊び心を失ってしまったようだ。

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