日本酒のルーツをさかのぼると...

掲載号 07年02月17日号

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 日本酒のルーツをさかのぼると、どのくらい昔にたどりつくか分からない。私たちの生活文化の身近にあるのは、お祭りのイベントに登場する神代神楽で演じられる「オロチ退治」の酒造りの場面である。うら若き清純な姫が米をかみくだいて樽の中に入れる仕草で表現される。つまり酵母菌を熟成させてアルコールに醗酵させる前工程。約2000年前の弥生時代の話である。

 これが室町時代になると、既にコメをこうじ菌、酵母、乳酸菌などで発酵させる技術が確立されていた。微生物の力で他の有害微生物を防ぎながら、酒を醸造する複雑で洗練された技術である。そして貯蔵時に酒を熱して酸化を防ぎ風味を保つ「火入れ」も行われていた。

 フランスで細菌学者のパスツールがワイン醸造の加熱菌法を開発する300年も前のことである。微生物や雑菌の存在を知らなかった時代に、経験とカンで自然を生かし生かされる日本型バイオテクノロジーを実践したわけである。それにしても微生物の力は計り知れない。

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