般若心経を唱え 鯖大師境内で寒修業

掲載号 07年01月13日号

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 冷え込みのつづく8日の夜、因島公園内の鯖大師境内で寒修業が行なわれた。大勢の老若男女が、般若心経を唱えるなか、境内の周囲を囲んだ島四国八十八ヵ所の札所巡りをした後、御大師さんに世界平和、無病息災、家内安全を祈った。

 親から子に受け継がれていく御大師信仰者。日本一の大きさと言われる弘法大師の銅像は、高さ5メートル、重さ10トン。その東側に鯖大師を祀ってある御堂がある。

 この御大師さんと鯖大師は、かつて因島土生町の因島総合病院前の故村井才吉さん宅の一角にあった。ある事情から昭和52年に因島公園中腹の国民宿舎「いんのしまロッジ」前に移転された

 鯖大師のいわれは千数百年前にさかのぼり、様々な言い伝えがある。魚行商人が鯖が売れないで困り果てていたところ、一人の旅僧が通りかかり鯖にふれると生き返った(願かけ仏めぐり・観光協会ガイド)。旅僧につめたくあたり、バチが当たり鯖が腐った(麻生文雄醍醐寺管長)。親切にしたお礼に鯖の大漁がつづいた(地元古老)など多くの伝説が残る。

 言い伝えに出てくる旅僧は弘法大師の化身であり、大師の力におすがりしようとする信仰者はあとをたたない。その一方でこの夜、寒空のもとローソクに火をともした信者約百人の列も年々高齢化。足元を照らす灯に鯖大師堂をもとあった土生町内に移転する願いを込める信者の一群があった。

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