75歳老人のフーテン 東北の旅【19】

9月9日(月)⑤石巻の寿司屋

宮城県石巻市の紋章(平成17年4月1日制定)石巻の石の字を図案化している。

その話の内容は石巻の今はたいへんな不況の中にある。農業・漁業以外にこれといった産業はなく、大きな工場もないと嘆く。土建業はたいへん盛況ではないかというと今まではよかった。本当に考えられない程の仕事受注量で、店も恩恵を受けた。今も忙しそうだけど既存の受注の工事だ、新規の受注の発注はない。そのため業者は大変な節約モードに入ってしまった。

漁業に関しては、石巻が活気づくのは何といっても漁業に頼るところが多いい。20~30年前までは魚がよく取れ漁師はたいへんな鼻息であったという。20~30年前からカツオは釣れなくなりカツオ船の廃業は至る所にある。近年はサンマも不漁、サンマ船の廃業も出てくるのではないかと不安であると言う。近海物はさきの地震で海の海草がちぎれてしまいそこにウニが大量発生し、そのウニは海草の新芽・ワカメが好物でそれを食い尽くすため、磯は裸のままで魚はいなくなり不漁続きである。ホヤの養殖は原発事故の放射能汚染により、何割かを東電が高値で買ってくれて漁師は息をついている。寿司屋にはホヤの値が上がりありがたくない。鮭は地震以後帰ってこなくなっていたが、稚魚の放流を盛んに行い少し戻りつつある。今年は本格的に帰ってきて大漁を期待している。こんなわけで水産業の未来は暗そうだと言う。

こんなエピソードも話した。漁師連中は総じてたいへんな見栄っ張りで、高いボトルをテーブルの上に置き安い酒を飲むことがしばしばあったが、そんなことも今は昔の話であるという。

私の乗っていた第五雄勝丸はひと航海1週間程度で帰港して、その日に水揚げしすぐに出航する繰り返しであった。そして入港するたびに船頭が数千円の小遣いを手渡してくれる。若い漁師は水揚げまでの短い時間を酒場に駆け込んで飲んで、夜中の2~3時に千鳥足で港に戻り水揚げ作業を開始する。入港した港は気仙沼に1回・石巻に2~3回・その他は女川であったよう記憶している。船の定期検査のため石巻の中州の島の造船所にも入った記憶がある。

川にあった漁港は30年ほど前河口の東に移転したという。

今になって考えると川の漁港は国内にはほとんどなく、珍しさもあり観光客を呼べたかもしれない。移転しないほうがよかったのではないかと思うと主人は言う。

田中伸幸(因島田熊町)

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