因島で見た野鳥【129】イタチとカルガモたち
カルガモのヒナが日が経つにつれ減ることをしばしば見るが、おそらく、天敵に捕食されるのであろう。カモ類を観察していた池では、イタチをよく見かける。筆者は、ヒナが襲われる場面を見たことはないが、天敵の一つはイタチあろう。
写真①が池で見たイタチの一例である。
ホンドイタチかチョウセンイタチのいずれかであろうが、可愛い目をしている。
ある日、カルガモの親子やバンの親子がいるところを、イタチが泳いで渡った。そばの鳥を襲うなどの様子は全く無く、逃げるようにして懸命に渡りきろうとし、カルガモのヒナたちも警戒のそぶりを見せず、無視していた。
バンの若鳥は、イタチを挑発するがごとく、並んで泳いだ(写真②)。
イタチが渡りきりると、鳥たち全員が警戒の目で、天敵に変身したイタチの行方を見つめた(写真③)。
「イタチを背中にのせて飛んだ鳥」のことが、樋口広芳著「鳥ってすごい」(ヤマケイ新書2016年3月5日)に紹介されている。
インターネットの複数のサイトでその写真を見ることができる。一例が、ナショナルジオグラフィックである。
そこでは、その写真が合成写真でないとする画像解析の専門家の意見も紹介している。樋口は、鳥の飛翔力の”すごさ”を示すエピソードとして、このことを紹介しているが、何故これが起きたのか、次にように推察している。小型のイタチの仲間・イイズナが、ヒナを捕食しようとして、キツツキの仲間・ヨーロッパアオゲラの巣穴に侵入し、素早く飛び出すアオゲラの親鳥にイイズナがしがみついたのだろうとのことである。イイズナも生きた心地がしなかったと筆者は想像する。自然界には奇想天外なことが起きる。(2月12日・記)
文・写真 松浦興一
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