400年超の伝統行事 因島大浜町神明祭 大とんど四基繰り出す
400年を超える伝統を有する、豊年と厄払いなどを願う新春行事である因島大浜町神明祭が5日、同町公民館広場を中心に、盛大に行なわれた。同町区長会(大出純廣区長会長)を中心に実行委が作られ、東、西、中浜、沢崎の4地区で準備が進められた。前日、当舎(とうや)に住民が集まり、男衆はとんどづくり、女衆は祝宴の料理づくり。
祭りの中心は、初老(41歳)の猪鼠(いのちゅう)会10人と還暦のヤング辰巳会30人の男女。この日に合わせて帰省したメンバーもいる。
各地区4基の大とんどが伊勢音頭に合わせて公民館広場に集結し、ところせましとばかりにねり歩く。会場からわきおこる「オッセー、オッセー」「モーリマッセー、モーリマッセー」のかけ声とともに、激しく押し合い、勇壮な舞を繰り広げた。
その後、各地区に持ち帰られた大とんどは、各戸のしめ縄といっしょに祈りをこめて燃やされた。夜は、各区の当舎に集まり、心おきなく祝宴を楽しんだ。
傍目八目
1月中旬から立春にかけて福山城下の芦田川や山間辺地の学校グラウンドなどで伝統行事の「とんど焼き」をするテレビや新聞報道を見かける。
広辞苑によると、小正月の1月15日、村境などで行う火祭りで門松・竹・注連縄(しめなわ)などを集めて焚く―とある。多くは村境の道祖神を祀ってある場所で行われる火祭りのことらしい。これが瀬戸内海沿岸部になると神明祭(しんめいさん)と呼んで、とんどをぶっつけあう勇壮なお祭りへと発展してくる。
もっとも三原城主小早川隆景が築城したとき、伊勢神宮の分霊を祀ったのが始まりで当時の海賊衆に伝えられたから勇壮になった。なかでも尾道市因島大浜町では四百余年も守り続けている。高さ5メートル、重さ300キロのとんど4基を造るだけでも大変な作業。それを担いで練りまわす人。見物人もいなければムードはあがらない。世話役は初老の41歳と還暦の60歳の地域ぐるみが主役。それも高齢化でいつまで伝統が守り継げるやら―と溜息がもれるご時世。
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