汐待ちの港は、島の心のふる里

 帰省客で人口が倍増する島しょ部のお盆風景。車のナンバーは全国区並みで、服装を除いてはお正月と変わりない。


 変ったといえば古里の方で生まれ育った因島市が尾道市に合併、少年少女時代を過した中学校が統廃合され、三庄地区の道路拡幅で町のイメージが一変するなどあげればきりがない。
 それなりに島に残った人たちが考えたことだ。その昔、汐待ちの港を玄関として集落が出来あがった。交通手段は海路で、隣の集落へ行くのも船便が主で、磯づたいや獣道を利用するのはごく稀だった。役場も学校も神社も港とよくバランスがとれた村づくりをした。
 それがクルマ時代になってさまがわり。道路行政が財政を圧迫しながらも時代の流れを止めることはできないようだ。墓参りに立ち寄ってくれた孫たちが「じいちゃん、父さん母さんが島を離れた桟橋を見たい」というので、田熊桟橋に連れていった。「ここから船に乗って一人で出ていった」と説明すると、孫たちは感慨にひたっている様子で心のふる里を見つけたようだった。
(村上幹郎)

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